「臓器提供に同意した人が交通事故に」 中国の臓器提供における不可解な現象の数々

2024/08/07
更新: 2024/08/07

中国共産党が生きている人から臓器を強制的に摘出している事実が少しずつ明らかになるに連れて、中国国内では臓器移植に関する社会的な関心が高まってきている。

中国当局は臓器移植について「人類に福を与えている」と宣伝しているが、移植に関連する問題が社会に不安を与え、臓器提供同意書にサインしたら危ないとの声が出ている。

臓器移植は「特権集団」の健康に資するためか

最近、ある女性が中国での臓器移植や提供に関する不可解な出来後について語った動画を公開した。

彼女は、中国当局主導の現在の臓器提供の状況に「異常がある」と指摘。臓器提供に同意した人々が、登録した後にある団体から臓器提供を強く求められる電話を受けているという。

「最近の実例で、私の家族が病気になり、病院での輸血が必要になったことがある。病院に血液バンクがあったとしても、すぐに輸血を受けられるわけではない。家族が自ら献血をし、その献血量が必要な条件を満たして初めて、患者への輸血が実施される」

さらに彼女は、「臓器提供の話が出ると、人々は不安になり、特に自分の子供たちの安全への懸念が高まる。『足を捻挫したけど、本当に病院へ行く勇気が出るかな?行けないよね』と、半ば冗談で言う人もいる」と話した。

この話から、中国において病院への不信感を抱く人が少なくとも一定数いることが分かる。

彼女は、中国における人体の臓器提供と移植に関する問題が深刻だと指摘した上で、特に、特権集団(中共高官や富裕層など)の中には、16〜30歳までの若くて健康な臓器を望む高齢者がいて、無実の人々を犠牲にしていると強調した。

「人体臓器の寄付と移植をめぐり、(中共は)法律を多く制定している。本当に邪悪極まりない」と彼女は述べている。

最近では、李強首相が署名した「人体臓器提供及び移植条例」が5月1日に施行された。

彼女は「なぜ我々の国で臓器提供が盛んになると同時に、これほどの恐怖が蔓延するのでしょうか?その背後にはどんな理由があるのか?」と疑義を呈している。

「一般市民にとって、臓器移植にかかる費用が高額だから、まず無理だ。実際、普通の人々が病院で治療を受ける際、輸血が必要になったときには、まず、自分の家族が先に血を提供しなければならないという現実がある」

「中国における臓器移植の歴史は浅いと言われるが、臓器提供の研究センターが設立され、学校の子供たちには健康診断が義務付けられてるなど進展が早い。これには何か怪しく感じる。まるで特定の限られた集団だけにサービスが提供されているかのようだ」と彼女は指摘している。

「脳死」と診断後に臓器提供が増加、不安が広がる

近年、国家ぐるみで行われている強制臓器摘出の犯罪が問題視される中、中国国内では臓器移植に関する社会的な関心が高まってきている。

今月4日、エポックタイムズの記者が中国のSNSを調査した結果、「脳死」と診断された後に臓器を提供した患者の事例が多く見つかり、市民の間で不安が広がっていることが分かった。

新聞社「寧波日報」の6月1日付の記事によると、江西省の少女(8歳)が交通事故に遭い、寧波大学付属の病院に運ばれた後、1ヶ月で「脳死」と診断された。その後、彼女の肝臓、腎臓、角膜が臓器提供された。彼女は寧波市で405番目の臓器提供者となった。

新聞社「齊魯晚報」の5月29日付の記事によると、寧波の子供(2歳)がうっかり食べ物を気管に入り込み誤嚥してしまった。10日後には回復が見込めなくなり、その子供の肝臓、腎臓2つ、角膜2つが臓器提供されたと報じられている。

国営通信社の新華社が4月7日に報じたところによると、3月29日に張鵬さん(42歳)が突然脳出血で倒れ、4月1日の夜、福建省南平市の第一病院で脳死が宣告された。4月4日には、張さんの心臓、肺、肝臓、腎臓2つ、角膜2つが臓器提供された。

2月2日には、中国のポータルサイト・新浪のアカウント「新浪熱点」によると、広東省陽春市に住む少年(13歳)が学校で受けたいじめの結果、広州市の病院へ搬送され、脳死と判断されたのち、7つ以上の臓器が提供されたという。

中国共産党機関紙・人民日報の1月22日の報道によると、溪溪ちゃん(3歳)が交通事故に巻き込まれ、広州市にある婦人・小児医療センターへ緊急に運ばれた。10日間昏睡状態が続いた後、病院側は溪溪ちゃんの脳死を宣告。その後、彼女の腎臓、肝臓、角膜2つが臓器提供されたという。

臓器提供に同意した人が不可解な交通事故に遭う

ネットユーザー「白榆」の話によれば、彼の姉が臓器提供に同意する書類に署名した後、不審な交通事故に遭い、その後病院で奇妙な出来事が連続した。結局は何とか病院から逃げ出したという。

また、山東大学第二病院で治療を受けていた患者が、命に別状はないにも関わらず、入院6日目に臓器提供を求められた事例があり、家族は断った。この件が表面化した際、病院は家族に沈黙を保つために20万元を支払う提案をしたが、その結果、両者の対立はさらに激しくなったとされる。

膝の怪我で「脳死」、複数の臓器を移植

中国メディアの報道によれば、中国地質大学(武漢市)の修士課程に在籍し、地質工学を専攻していた隆星宇さん(24歳)は、昨年5月にスポーツをしている最中に膝を捻挫し、その後入院した。

しかし、彼の病状は次第に悪化し、5月23日の夜には華中科技大学の同済医院で脳死と診断された。翌日、彼の心臓、1つの肝臓、2つの腎臓、そして1組の角膜が移植用に提供された。

隆星宇さんが膝の捻挫だけで死亡し、その後に臓器が提供されたことが物議をかもした。ネット上では、「臓器移植に適する人物なら、たとえ軽い怪我であっても脳死と判断されることがある」との声が上がっている。

息子が「脳外傷」から「脳死」へ、母親が告発

今年6月、武漢同済病院の外傷科主任、李占飛氏が遺族に対して無礼な態度を取ったことが、ネット上で話題となった。

遺族が撮影した動画によると、子供が脳の外傷を負い、武漢同済病院で治療を受けていたが、自発呼吸の検査をせずに「脳死」と診断された。その後、病院は遺族に臓器提供を求めたが、遺族は断った。

遺族は、病院側が心電図を偽造し、関与した医療従業員が組織的犯罪に関与していると主張し訴訟を起こした。

中共が推進する「臓器提供」キャンペーンが学校に導入

今年5月、中共の国家衛生健康委員会を含む14の部門が市民に対し、自発的な臓器提供への同意を促す声明を発表。同月、上海市の復旦大学付属病院に「児童大臓器移植センター」が開設された。市民の間では物議をかもしている。

中国当局は最近、学校で「臓器提供」キャンペーンを開始し、未成年者に臓器提供の重要性を教え、生徒たちに誓約させている。さらに、生徒たちに「臓器提供意志登録用紙」を持ち帰らせ、親の署名を求めるよう指示しており、これが親たちの間で不満を生じさせている。

アメリカのウイルス学専門家、林曉旭(りんぎょうきょく)は6月25日、エポックタイムズの取材に対し、中国当局が学校で臓器提供活動を推進し、幼稚園から高校に至るまであらゆるところで親に署名させることは詐欺行為であると批判。また、病院が偽の既往歴を作成したり、意図的に医療ミスを起こして子供たちを臓器提供に適した身体状態にする可能性があると警告した。

林氏はさらに、中共が臓器移植を商業的に推進し、救命を口実に市民から強引に臓器を収奪していると述べた。児童臓器移植センターの設立は、成人の臓器だけでなく、若者や子供たちの臓器も対象にしていることを示唆する可能性がある。

李淨
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