真夏日が続くなか、中国で「またしても」降るはずもないのに雪が降った。
「夏に降る雪」、「六月飛霜(雪)」という言葉を聞くと、中国人であれば、誰でもすぐ脳裏に浮かぶ言葉、それは「冤罪」である。
この頃、中国各地で相次いで「夏雪」が確認されているが、今回降った場所は中国共産党(中共)の政治中枢である北京だ。
近頃は、中国共産党の政治的危機が再び浮上し、ただでさえ異常な緊張感に包まれている北京に降った「夏雪」は当然ながら、話題になった。
「真実が何であるかは二の次」で、何はともあれ、「政権の安定維持」を最優先とする北京当局は、この事態に非常に神経を尖らせている。まずは、「夏雪」関連の動画を封殺するとともに、お抱え「専門家」や「気象当局」までテレビに出して「雪ではない、あれは霰(あられ)だ」などと言い張っている。
しかし、北京市で15日昼ごろに「雨とともに雪が降っていた」ことを示す動画はすでに多くの現地ユーザーがSNSに投稿しているため、「反論できない数々の映像」を前にして、当局の「嘘」は逆に滑稽に見えるなどと、ネット上でも強引に雪を霰だと言い張る当局をあざ笑う声が少なくない。
(北京に降った「夏雪」、2024年8月15日昼)
「六月飛霜(雪)」
中国では古来から「夏に降る雪は冤罪があり、亡霊の怨念や慷慨悲憤(こうがいひふん・社会の不義・不正や自らの運命などに憤りをおぼえ、嘆き悲しむこと)が神を動かしたから」といわれている。
そのため、この異常気象を「神の怒り」や「不吉の前ぶれ」「天下大変の前兆」とする民間の言い伝えもある。
昔であれば、このようなめったに見られない現象が起きた時には、中国メディアも「夏の奇景」として浮かれた報道をしていたが、それが「常態」と化した今、国民が動揺するのを恐れているのか、あまり報道しなくなった。
それに現在の状況は、中国の経済破綻、失業者の爆発的増加、疫病の蔓延、異常気象による農業への打撃など、どれをとっても国の根本を揺るがす大問題を抱えているのだ。
そうした切迫した状況に加え、自殺者の急増や無差別殺人など社会への報復事件が頻発し、怨念が渦巻き、邪気があふれるなか、「冤罪」や「怨念」を想起させる「六月飛霜(雪)」が「検閲対象」となった。SNSに投稿された関連情報の殆どは、封殺に遭っている。
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