社会問題 当局は災害実態を隠蔽

中国遼寧省の大洪水 救援物資は被災地に届かず 多くの町と4日間以上音信不通

2024/08/24
更新: 2024/08/24

洪水に見舞われた中国遼寧省葫芦島市(ころとうし)の多くの町と連絡が取れなくなってから4日以上が経った。

葫芦島市では19日からダムの放流が行われ、以後7日間に渡り放流が行われる予定だと現地当局が公表している。

町を襲った大洪水の水深は一時は約数メートルあったともいわれており、町はまるごと水に飲み込まれた。ほとんどの地域で停電が発生し、ネットも中断され、多くの家屋で水が屋根まで達していた。

 

屋根の上に避難する被災民、中国遼寧省葫芦島市、2024年8月。(NTD新唐人テレビより)

 

命からがら被災地から逃げ出した被災民や民間のレスキュー隊は、「被災地には救援物資はない。被災民は食べ物がなく、住む場所にも困っている」「甚大な被害を受けた被災地では大量の死傷者が出ているが、当局は災害実態を隠蔽している」とNTD新唐人テレビの電話取材に対して、訴えた。

被災地から逃れた被災民の1人は、「大洪水が襲来した20日、水は家の屋根にまで来ているのに、救援が全く来ない。現地の死亡者数は少なくとも3桁であるのに、当局は報じていない」と当局による被害隠蔽を糾弾した。

また、素足のまま逃げ出したという、和尚房子鎮(町)の村民・王さんは「あの時は怖くて震えた。自宅や家財、牛、羊、車が流されていくのをただただ眺めているしかなかった。心が締め付けられた」と振り返った。

王さんは、さらに「私たちの村は被害が甚大だ。電気もネットワークも断たれ、道路が破壊されたため、村の外に出ることが本当に難しかった。水もないため、私は何日も体を洗っていない」と明かした。

洪水後の被災地の様子。中国遼寧省葫芦島市。2024年8月。(NTD新唐人テレビより)

 

楊樹湾子郷の村民よれば、「村のどの家族も被災している。食料と避難場所を、自分たちで見つけなければならない。普段は誰もが近寄らない地元の高台に位置する事故物件に、今は、避難して来た村人でいっぱいだ」

「家屋はすべて崩壊し、村が更地になった。村の外のスーパーマーケットではネットワークがないため、現金がないと物も買えない。しかし店には新たな商品の入荷がないため、このままではいずれ店が空っぽになってしまう」という。

民間のレスキュー隊員の陳さんは、「大洪水により多くの人が流され、現地では食べ物がない状況だ」と明かす。

被災地に物資を届けに来たボランティアの張さんによれば、「寄付された救援物資はすべて政府の手にあるが、それがきちんと被災民の手に渡っていない」という。「救援物資の話題を口にすること自体禁じられており、寄付者から直接被災民に手渡しすることも禁じられている。何もかも政府を通さなければならない」と張さんは憤慨した。

 

 

 

 

人命より情報の隠匿を優先する中共政府?

「18万人以上が被災し、死者11人、行方不明者14人」と現地当局が公表しているが、中国共産党当局は、災害が起きるたびに一貫して被害情報の隠蔽を行っているため、今回の地震による実際の死傷者数も、公式発表をはるかに上回る可能性がある。

実際、NTD新唐人テレビの電話取材に応じた被災民によれば、死者数は少なくとも3桁以上。

洪水を引き起こした原因について、当局は一貫して「豪雨被害」の一点張りで、「ダム放流」に関しては何も言わない。

「夜中に大洪水が来た、逃げる時間もなかった」と多くの被災民が明かす。

 

(中国遼寧省葫芦島市、2024年8月)

 

中国の大洪水は「天災か、人禍か」 毎年繰り返される筋書き
 

「豪雨は天災だ。しかし、雨だけでは街を飲み込むことはできない。毎年中国各地で繰り返される大洪水はすべて人的災害だ」とネット上は罵声であふれている。

「普段からダムが決壊しないよう定期的にダムの水を減らすなどの調整をしなければならないにも関わらず、現地の役人は、ダムに貯め込んだ水を利用して金儲けをしたいから、そうはしない。いざ雨が降り続いて限界レベルに近づいたら放流を行う。中国で数十年も繰り返されてきた大洪水の原因はほとんどこれだ」と多くの専門家も指摘する。

毎年大勢の人たちは、毎回同じ筋書きで、外国にはない中国ならではの人禍によって命を落としている。流域住民はいつ来るかわからない洪水に怯えながら暮らし、いざ大洪水が来ても政府による救援はほとんど望めず、あとは運任せだ。

これが今の中国の現実だという。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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