新しい日本の首相は誰か 日本の防衛にどのような影響を与えるか

2024/08/29
更新: 2024/08/29

岸田文雄首相は9月以降、日本の首相ではなくなる。岸田氏は、日本の首相としては比較的長い期間、約3年務めた。しかし、安倍晋三前首相以外、日本の首相は確かに時折変わるため、実際に首相が誰であるかはそれほど重要ではないと思われるかもしれない。

しかし、日本の防衛において、首相が誰であるかは重要だ。 

近年、日本の防衛は異例の進展を遂げているが、異なる首相が就任すると、防衛強化の取り組みが「漂流」する可能性がある。

比較的迅速で測定可能な進展がいくつかあったが、大部分は「漂流」している。 

日本が感じるペースに合わせて進展し、速くも遅くもない。

また、朝日新聞からの過度な批判を招いたり、自民党の連立パートナーである公明党や自民党内の左派勢力を動揺させたりするようなことも避けている。

その結果、日本は地域の状況や国境を越えた脅威にかかわらず、必要な対応をせず、容易な選択肢を選びがちだ。

ここ10年余り、中国が日本に対して明確な脅威を示し、その手段を持っていることは疑いようがない。北朝鮮やロシアもその支援を惜しまない。 

最近の数年間は防衛に関して例外的な進展が見られ、通常の進展よりも速かったと言える。

岸田文雄首相は、進展に過度に干渉せず、適切な判断を示したことで評価されるべきである。

この改善は偶然に生じたわけではない。

防衛担当大臣であった木原稔氏と岸信夫氏の二人は、1990年代初頭に日本と関わり始めた頃から数えて40人以上の防衛大臣(または防衛庁長官)の中でも優れた人材だった。彼らは防衛分野に対する熱意と専門知識を持ち、その姿勢は前任者の90%ほど異なっていると言われている。

木原氏には優れたアドバイザーがついており、防衛の取り組みを密かに支援していた官僚も多く存在する。

また、自衛隊・吉田圭秀統合幕僚長は、日本の防衛要求について確固たる理解を持ち、優れた人物だ。

しかし、新しい首相が「大掃除」して、自分のチームを配置すると、これらの進展が続かない可能性がある。

さらに、新首相が防衛問題よりも自民党の権力維持に関わる国内問題に焦点を当てる可能性もある。

日本の一般市民は「誰かが」防衛を担当していると考えているが、日本の政治家層や一般市民の多くにとって、防衛はこれまで優先事項とはされてこなかった。

多くの政治家や国民は中国を警戒しているが、防衛が票を集める要素であり、また集中した取り組みや明確な思考を要するとは見なされていない。

多くの民主主義国で見られる傾向だが、現時点で防衛を優先課題としている首相候補は少数派である。

例外として高市早苗経済安全保障担当大臣(自民)や小林鷹之衆議院議員(自民)がいるものの、多くの首相候補にとって防衛が優先事項であるとは言い難い。

しかし、石破茂衆議院議員(自民)についてはどうだろうか。彼は首相候補の中でも有力で、かつて防衛大臣および防衛庁長官を務めた経歴がある。紙の上では印象的だが、彼が自分が思っているような専門家であるとは確信できない。

日本には「中国を刺激しない」と「中国とビジネスをするべき」という考え方が根強く、これは自民党内にも見られる。また、ワシントンと同様に、中国の「エリートキャプチャー」は東京でも成功を収めている。

そのため、PRC(中華人民共和国)との関係を「リセット」し、緊張を和らげようとする動きが出ても不思議ではない。

日本の防衛が無視されるわけではないが、進展は遅く、適切な焦点を欠く可能性がある。

米国に日本の防衛を支援させ、必要な部分を埋めるための最低限の対応だと言う人もいる。

近年、日本は軍艦や潜水艦の建造、先進的な戦闘機の導入などを行っており、特に、英国やイタリアとの共同開発を含む取り組みもある。

確かにそうだが、日本の海上自衛隊と航空自衛隊は必要な規模の半分程度しかなく、この問題の一因となっている採用不足を含め、この問題に真剣に取り組む計画はないようだ。

自衛隊や日本全体が戦争に備える準備はどうか。

これは明らかな目標である。しかし、いくつかの進展があったにもかかわらず、課題は多い。岸田氏の後任が防衛より他の優先事項を持てば、さらに困難になる可能性がある。

したがって、日本の次の首相が誰になるかは非常に重要だ。

どんな首相であれ、防衛に必要なことを実行する権限を持っている。ただし、その勇気があればの話だ。リーダーシップと意志、そして何が必要で、なぜそれが必要なのかを公衆に説明する必要がある。これは難しいことだ。

「漂流」する方が簡単だが、日本にはその余裕はない。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
退役米海兵隊員であり元外交官、ビジネス・エグゼクティブ。長年にわたりアジア太平洋地域で活動してきた。太平洋海兵隊の情報部予備部長を務めたほか、駐日米国大使館の武官を歴任。安全保障政策センター(Center for Security Policy)の上級顧問を務める。
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