「失神チャレンジ」による少女の死亡、アメリカの裁判所がTikTokへの訴訟手続きを指示

2024/08/30
更新: 2024/08/30

アメリカの控訴裁判所は、TikTokに関連する訴訟の再審理を決定した。訴訟を提起したのは、「失神チャレンジ」に挑戦して死亡した10歳の少女の母親である。このチャレンジは、参加者が自らの首を絞め、意識を失うまでその行為を続けるという危険な内容である。

ロイター通信によれば、通常、連邦法はインターネット企業をユーザーの投稿に起因する訴訟から保護している。しかし、8月27日、フィラデルフィアの第三巡回控訴裁判所は、この保護がニラ・アンダーソン(Nylah Anderson)さんの母親がTikTokに対して提起した訴訟を阻むものではないと判断した。この訴訟は、TikTokのアルゴリズムが彼女の娘に「失神チャレンジ」を推奨したことに基づくものである。

連邦控訴裁判官パティ・シュワルツ(Patty Shwartz)氏は、裁判官3人によるパネルの意見を代表して、1996年の通信規範法第230条は、第三者が提供する情報に関する責任を免除しているが、TikTokが独自に開発したアルゴリズムによって生成されたコンテンツは、この免責の対象外であると述べた。

シュワルツ裁判官は、この判決が自らの裁判所や他の裁判所の既存の判例と異なることを認めた。これまでの判例では、オンラインプラットフォームは、ユーザーが送信する有害な情報をブロックできない場合でも、第230条により法的責任を負わないとされていると指摘した。

しかし、シュワルツ裁判官は次のように指摘した。アメリカ最高裁が7月に、州の法律がソーシャルメディアプラットフォームによる不適切と判断されたコンテンツの管理をどのように制限するか、またそれが言論の自由に反するかどうかを判断した後、以前のような主張は、もはや成り立たないということにした。

これらのケースにおいて、最高裁はプラットフォームのアルゴリズムが、編集上の判断を反映しており、「自由に第三者の発言を編集する権利がある」との見解を示した。シュワルツ氏は、この理論によれば、アルゴリズムを通じたコンテンツの編集は、企業の自己表現とみなされ、230条の保護範囲外であると説明している。

「TikTokが、どのように特定のユーザーにコンテンツを推薦し、宣伝するかを決めている」と彼女は述べた。「これは実質的には、企業が自らのメッセージを発信していることに他ならない」

8月27日の判決は、230条を根拠にタワイナ・アンダーソン(Tawainna Anderson)さんがTikTokおよびその中国の親会社バイトダンスに対して、提起した訴訟を却下した下級裁判所の判事の決定を、覆すものである。

アンダーソンさんの娘、ニラさんは2021年に「失神チャレンジ」に挑戦した際、不幸にも死亡した。この結果、アンダーソンさんは訴訟を提起した。

この母親の代理を務めるジェフリー・グッドマン(Jeffrey Goodman)弁護士は、声明の中で「大手テック企業ももはや『逮捕されない特権』を持っていない」と述べた。

アメリカの巡回裁判官ポール・マティ(Paul Matey)氏は、27日の裁定の意見において、TikTokが利益を優先し、他の価値を軽んじることで、子供たちに「品位が低い」「倫理的に問題がある」とされるコンテンツを提供するリスクがあると指摘した。

ロイター通信がTikTokにコメントを求めた際、返答は得られなかった。

李言
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