かつて「世界の工場」と呼ばれて繁栄した中国の製造業は、輸出製品の需要低迷で受注の9割が失われた。
それにともない、企業の倒産や工場の閉鎖、従業員の大量解雇や新規採用の停止など、中国経済の深刻な悪化は留まる所を知らない。
各地の職業紹介スポットは、求職者で溢れかえり、なかには求人倍率200倍に達する職種もあるという。正社員での雇用はもちろん、アルバイトを探すことさえ極めて困難な状況だ。雇用主から提示される給料は、驚くほど安いという。
消費者の購買力が著しく低下したことで、ネット販売は継続しているものの、一定の賃貸料やテナント料がかかる実店舗は経営ができなくなり、閉店に追い込まれるケースが後を絶たない。かつては賑やかだった各地の商店街が、不気味な「シャッター街」になっている状態である。
社会不安が広がるなか、政府報告書には、軍の大幅な拡張や再編の話はあっても、不況にあえぐ中国の不動産市場に対する新たな支援案など、景気の低迷を打開する具体的な方策は乏しく、あったとしても効果が現れていない。
「職を求める人たちで作る長い行列」、「家賃が払えず、道端や公園で寝泊まりする人」、「人生に絶望して自ら死を選ぶ人」、これこそが今の中国の真実の姿であり、決して官製メディアが宣伝する「盛世」などでは決してない。
失業者あふれる かつての「中国のシリコンバレー」
「中国のシリコンバレー」とまで呼ばれた広東省深セン市だが、いまや、ここでは失業中、あるいは定職に就いていない大勢の若者が、路上生活を余儀なくされている。
ペットボトルや段ボール箱を集めてそれを売って生活の足しにしている者もいれば、路上で歌い、観客から恵んでくれるお金で食いつないでいく若者も。
深セン市のなかでも有名な娯楽街だった「竜華地区」のバスステーションに行くと駅前広場は、路上生活をする失業中の若者のたまり場になっている。「部外者が撮影をしに行くと、若者たちから追い払われるばかりか、集団暴行を受けることさえある」と動画撮影者はいう。
この付近の路上を映した別の動画のなかには、子どものホームレスの姿もあった。
広東省のある公園の木の枝には、ここで生活する失業中の若者が干す洗濯物がたくさんかけられていた。若者たちは時には「ここで泊まるな」と警察から追い払われることもあるという。
(ホームレスが暮らす深センの橋の下)
(失業中の路上生活をする若者のたまり場になっている深セン「竜華地区」のバスステーションの駅前広場)
(警察から追い払われるホームレスの若者、広東省の公園)
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