なぜ高い? こども家庭庁の概算要求が文科省超えの6.4兆円 拡大する国の予算

2024/09/03
更新: 2024/09/04

2025年度予算編成に向けた各省庁の概算要求が8月30日までに出そろった。一般会計の要求総額は117兆円規模となり、24年度(114兆3852億円)を上回り過去最大となる見通しだ。4年連続で110兆円を上回る。

社会保障費や防衛費の拡大に加えて、今回は長期金利上昇による国債の償還や利払いにかかる「国債費」の増加も見込まれている。

概算要求額が最も高いのは厚生労働省で、過去最大となる34兆2763億円となり、医療や年金などにかかる社会保障費が32兆4375億円だった。防衛省も過去最大となる8兆5389億円を要求しており、初の8兆円台となった。

こうした中、話題となっているのがこども家庭庁の概算要求だ。内閣府の外局としての立ち位置ながらも、文部科学省(5兆9530億円)に勝る予算規模となっている。そもそも、こども家庭庁とはどういう行政機関なのだろうか。
 

増え続ける児童虐待や少子化問題や不登校問題など子供に関する政策や支援は、内閣府や文部科学省、厚生労働省など各省庁にまたがって縦割りで行われていた中、子育てや少子化、児童虐待、いじめなど子供を取り巻く社会問題に対して本質的な対策を進め、解決するために昨年内閣府に設置した機関である。現こども政策担当相は加藤鮎子氏。

こども家庭庁は先月27日、2025年度予算の概算要求を公表。特別会計を含め、24年度当初比2394億円増の6兆4600億円を計上している。

概算要求の6兆4600億円のうち、4兆5273億円と半分以上を占めているのが「より良い子育て環境の提供」という項目だ。具体的にどのようなことを行うのか。

児童手当の拡充、子育て支援、放課後児童クラブの整備推進、高等教育費の負担軽減、保育の質の向上等の推進、保育所整備費等の支援、子供のための教育・保育給付の拡充、保育士等の処遇改善、保育人材の確保、こども誰でも通園制度の制度化。子育てや保育の質向上に重点がおかれている。

児童手当は、今年10月分の支給から所得制限を撤廃する。支給期間は「中学校修了まで」から「高校生年代まで」に延長し、0〜2歳に月1万5000円、3歳~高校生年代に月1万円、第3子以降は年齢を問わず月3万円が支給される。

また、「若い世代のライフデザインの可能性の最大化」という項目に188億円が割り当てられている。世代ごとのニーズを捉えた、結婚・子育てに係るデータや支援制度等に関するコンテンツ開発や公開等を通じて、結婚や子供を生み育てることなど自らのライフプランを前向きに選択できるような広報・啓発。

結婚支援コンシェルジュ事業や結婚新生活支援事業。マッチングアプリの正しい使い方や、第三者認証を受けたマッチングアプリなどに関する普及啓発。各都道府県のAIマッチングシステムの横断検索等に向けたニーズ調査や課題の整理などを行うとしている。

いじめ・不登校、子供の自殺対策に7.5億円を投じ、不登校の児童のために「不登校統括支援員」を新たに配備するほか、中学生や高校生を対象に自殺予防として訴求力のあるデジタルコンテンツの作成発信を行うとしている。

障害児支援・医療的ケア児支援などに5314億円が充てられているほか、児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー支援などに4396億円、妊娠期から子育て期の支援に3550億円の予算が確保されている。

そのほか、子供と接する仕事に就く人に特定の性犯罪の前科がないか確認する制度で、学校や認可保育所などは対応が義務付けられる「日本版DBS」の実施に向けシステム整備や広報などに22億円が盛り込まれている。

「日本版DBS」は6月19日に成立。学校や保育所、児童養護施設に対し、犯罪歴の確認や職員研修などを義務付ける。犯罪歴を確認できる期間は刑を終えてから最長20年。学習塾や放課後児童クラブなどの民間の事業者は、任意で制度に参加できる。

 

大紀元日本 STAFF
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