中国湖北省武漢市で10日午前8時ごろ、小学校の校門付近の道路で暴走車が小学生を含む多くの市民や市民が乗る電動バイクを次々とひき飛ばす「事件」が起きた。正確な死傷者数は不明。
現地当局はいつもながら、これを「交通事故」としているが、世論は懐疑的である。
公式発表では、「電動バイク2台がひかれ、1人骨折、3人が軽いケガを負った」ことになっている。暴走車の運転手の何(男性、56歳)は当局によって取り押さえられている。
しかし、中国共産党(中共)当局は、大災害や社会報復など社会の不安を引き起こしかねない事故や事件が起きるたびに一貫して被害情報の隠蔽を行い、過少報告する傾向があるため、今回の事件による実際の死傷者数は、公式発表をはるか上回る可能性がある。
実際、ネット上に投稿された現場の様子を映した動画からしても、負傷者数は明らかに公式発表以上である。
事故直後の地獄絵図と化した町の動画は、SNSで共有され、そこには多くの小学生やその保護者らが地面に倒れたまま、動かなくなっている。
目撃者は中国メディアの取材に対し、「事件が起きた道路には電動バイクが多く倒れていた。バイクに乗っていた大人も子供も地面に倒れて動かなくなっている。暴走車の運転手は人をひいた後、車のフロント部位に電動バイクを載せたまま、逃走しようとした。後に、市民によって取り押さえられた後も、運転手はなお逃げようとしていたが交通警察に捕まった」と当時の様子について説明した。
公安によって取り押さえられた別の映像のなかには、サングラス姿の高齢男性の姿があった。
事件が起きた時刻は、小学校へ通う子供を送り届ける時間帯であったため、学校周辺の道路(現場)では、多くの保護者が子供を載せて電動バイクで走っていた。
(現場の様子)
「動機」については明かされていないが、中国では近年、小学校の校門近くで児童や生徒を狙った「社会報復」事件が相次いでいるため、今回の「交通事故」も「本当は社会報復なのではないか」と、疑いの声が上がっている。
中国で起きた突発事件を報道するインフルエンサー「羅翔(@LUOXIANGZY)」は自身のX(旧ツイッター)に、「運転手の男は会社が破産したため、キャデラック車を運転して大勢の学生とその親をひいた」と明かしている。
「キャデラック」は、米自動車メーカーであるゼネラルモーターズが展開している高級ブランド車である。
関連動画をめぐり、ネット上ではいつもながら嘆きの声が広がっている。
「いまの社会は邪気があまりに充満している」
「今は何かあればすぐに車で学校を襲うと脅す過激な人が本当に多い」
「このままでは今後どの学校も部外者の出入りを完全に禁ずるといった安全処置を講じないといけなくなりそうだ」
「無関係な人を巻き込むな、政府に立ち向かえ。ここを出て左へ曲がれば政府だ」
なお、「無関係な人を巻き込むな、政府に立ち向かえ。ここを出て左へ曲がれば政府だ」という、このようなコメントは、中国で何か一般市民を巻き込んだ社会報復事件が起きるたび、関連のトピックスのコメント欄には必ずと言っていいほど、書き残されるものだ。
このセリフはもはや、ある意味、この混沌とした時代に生きる市民の心の内を示す最も正直な気持ち、そして「皮肉」にすらなっている。
事件を伝えた「羅翔(@LUOXIANGZY)」さんも、事件現場の映像とともにこのように書いている。「中国の民間では経済は崩壊したが、中共の上層部には何の影響もない」「社会の底辺で生きる庶民の不満は爆発寸前。社会全体に邪気が充満している。中国に住む人は外出の際に安全に注意すべきだ!」
そして、「社会に対して報復しようとするクズどもよ、無関係な人を巻き込むな、政府に立ち向かえ。ここを出て左へ曲がれば政府だ」と書き込んだ。
(「羅翔(@LUOXIANGZY)」さんによる事件関連投稿)
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