百家評論 金メダルよりお金

中国サッカーの背後に隠された闇 賭博の黒幕と警察の影響力

2024/09/16
更新: 2024/09/16

9月5日、ワールドカップアジア予選で中国チームは日本チームに0対7で惨敗し、多くの中国人がこの結果を受け入れられなかった。実際、1980年代の中国サッカーは日本に劣らず、10年以上前には中国と日本の間にこれほどの差はなかった。しかし現在、中国共産党の指導者がサッカーを特に重視しているにもかかわらず、中国サッカーはますます劣化しているという。これは一体何が原因なのであろうか? 上海のサッカー界に詳しい元上海企業家の胡力任氏が驚くべき黒幕を暴露した。

中国代表チームの苦戦:ワールドカップ予選の現実

「大紀元時報」の編集長郭君氏は新唐人の『菁英論壇』番組で、中国代表チームと日本代表チームの9月5日の試合には特別な意味があると述べた。それは9月3日が中国の対日戦争の勝利記念日であるからだ。終戦の1945年から現在まで79年が経過している。

9月5日の中国対日本の試合は、中共中央テレビが元々中継を予定しており、時間も確保されていたが、最後の瞬間に中止された。

郭君氏によれば、中継が中止された理由は、対日戦争の勝利記念日によるものだ。前日に対日戦争の勝利を盛大に祝ったにもかかわらず、翌日に日本との試合で大敗するのは非常に見苦しいことだと考えられていたと。

2026年のワールドカップは北米で開催される予定だが、現在アジア予選の第3ラウンドが進行中で、合計18チームが競っている。アジアから、合計8チームもがワールドカップに出場できるのは、過去最多の機会である。しかし、中国チームが、アメリカで開催されるワールドカップの決勝戦に進出できるかどうかは、現時点では非常に悲観的だ。

現在、アジアは三つのグループに分かれており、各グループの上位二チームの計六チームがワールドカップに出場することができる。加えて、三つのグループの第三位と第四位の計六チームがさらに二つのグループに分かれてグループリーグを行う。そのグループの第一位もワールドカップに参加でき、これにより二チームが加わり、アジア太平洋地域からは合計八チームが出場することになる。その後、もう一つのチャンスがあり、各グループの第二位の計二チームがインターコンチネンタル予選に参加できる。この予選では、世界の四大陸から各大陸の二チームが出場し、最終的なワールドカップ決勝進出権を争うことになる。中国チームは第三ラウンドのグループリーグにあまり期待できず、その後の第四ラウンドのグループリーグで争う可能性はあるが、インターコンチネンタル予選に関しては基本的にも期待が薄い。

中共官僚がサッカー賭博を支配、警察が黒幕

アメリカに住む上海の企業家、胡力任氏は『菁英論壇』番組で、自身がサッカーを非常に愛しており、学生の頃にはサッカー選手だったと語った。彼は、中国代表チームが日本に0対7で敗れたことについて、非難する余地はないと考えている。その理由は、今回の予選で多くのチームが一ラウンドずつ戦ってきたからだ。中国サッカー代表チームのコーチや上層部は、日本との試合で勝つ可能性が全くないことを十分に理解しており、完全に諦めているという。

日本はすでに世界のトップ20に入るチームであり、中国はそれに対抗することができない。試合に負けた後、ファンたちは非常に激しい反応を示したが、彼らはサッカー協会を非難しており、代表チームを責める人は少ない。なぜなら、代表チームは数年前にすでに散々非難されており、ファンも、代表チームが他国のチームと対抗できないことを理解し、あきらめているからだ。ファンたちはその怒りを管理層に向けるしかなく、サッカーを非難する名目で中共政府を批判している。

胡力任氏は、中国サッカーのプロ化(職業化)が深刻な影響を及ぼしていると述べた。プロ化が始まった当初から、さまざまな議論が巻き起こっている。現在の共産党体制下の中国社会は、本質的に堕落しており、腐敗が進行しているし、サッカー賭博は非常に盛んで、サッカーに関わるほぼすべての人が賭けを行っている状況にある。

胡力任氏によれば、彼は上海のサッカー界に詳しいが、実際にサッカーの賭博を支配しているのはスポーツに関わる官僚たちである。彼らの最大の支えは警察であり、上海の警察は上海サッカーの背後にいる最大の力である。胡力任氏が知っている警官の中には、サッカーの地下賭博に関与している者もいる。

胡力任氏は、中国は他国とは異なると指摘した。他国にも堕落した部分は存在するが、そのような人々は比較的少数であり、一部の人々がこのような行為に熱中しているかもしれない。しかし、中国ではほぼ全員が関与しており、すべての官僚や選手が関わっている。

中国のサッカーは金メダル論に見捨てられ、市場化と官僚制度の結合は必然的に腐敗

テレビプロデューサーの李軍氏は『菁英論壇』で、中国のサッカーは金メダル主義において最初に見捨てられた主要なスポーツ競技であり、また中国で最初にプロ化・市場化されたスポーツ競技であると述べた。国家レベルで捨てられたため、そのスポーツには過剰な資金投入がされないはずであり、省や市の体校でサッカーチームが減少し、縮小していった。

その結果、中国の地方や市レベルの体育学校におけるサッカーチームがますます減少し、すでに縮小していた。その後、市場化が進むにつれて、それは中国共産党の官僚制度と結びつくことになった。中国では、市場と官僚が結びつくことで必然的に腐敗が生じる。したがって、中国のサッカーは長い間、全過程での腐敗、あらゆる方面での腐敗が続いていた。選手の選抜、コーチの選定、試合は、誰が出場できるかは技術ではなくお金によって決まっており、もちろん賭博も一因となっている。

サッカー協会の役員やコーチ、審判、フォワード(FW)、ディフェンダー(DF)、さらにはゴールキーパーに至るまで、各ポジションにはそれぞれ異なる収入源がある。したがって、このような中国のサッカーが、発展するわけがない。なぜなら、皆が金でつながり、それがこのスポーツを続ける競技者の動機に成り下がったからだ。

以前、私は三種類の人が、中国のサッカーに入れないと述べた。一つ目は、サッカーを愛する人。もしあなたがサッカーをキャリアや趣味として考えているなら、中国のサッカーには絶対に入らない方が良いだろう。なぜなら、そこには破壊的な行動をする人たちがいて、お金に頼っているからだ。そのような環境では生き残ることはできないし、楽しめるはずもない。

二つ目は、サッカーが得意で、しっかりとした考えを持っている人だ。サッカーのボールの動きとテニスには共通点があり、技術だけでなく、能力や思考、判断力も求められている。自分の意見を持つ人は、しばしばあまり言うことを聞かない傾向がある。官僚機構が最も必要とするのは従順な人材だ。したがって、もし自分の意見を持っているなら、そこに入らない方が良い。入ったら、必ず内部で苦しむことになる。

さらに、三つ目として、」へつらったり賄賂を渡したりしない人も入らない方が良い。もし中国のサッカー業界にいるなら、金を渡さなければ、業界内で全く動けなくなる。

これらのサッカーを食い物にする連中が、中国のサッカーから遠ざかると、中国のサッカーにはまだ希望があるのか?

専制制度が個性を排除

大紀元の主筆である石山氏は『菁英論壇』で、自身も大学時代にサッカー部に所属し、以前は体育学校でもサッカーをしていたと述べている。腐敗や体制の問題を除いても、中国のサッカーには他にいくつかの問題があり、その中には専制制度の要素が含まれている。例えば、すべてのコーチは選手に対して統一された標準動作の強化を要求している。また、コーチが選手を選ぶ際には、身長が足りなければ選ばれず、スピードが不足していれば選ばれないなど、さまざまな制限がある。最終的にこの画一した方法では、多くの問題が存在することに気づくだろう。

私たちは、多くの世界的なスーパースターが実際にはそれほど高身長ではないことに気づく。中国のアスリートは178センチから182センチの標準的な身長を持っているが、サッカーは、チームの協力と個人のパフォーマンスの両方が求められる競技である。

また、中国のサッカーにはいくつかの制度的な問題がある。石山氏が子供の頃、広州市でサッカーをしていた際に周囲のサッカー場を調査したところ、すべてが有料で、最も安いところでも1時間半で700元(約1万4千円)以上かかった。サッカーは貧しい人々のスポーツであるのに、街中やコミュニティ、学校の通りではプレーできず、唯一プレーできるのはサッカー場だが、700元もかかる。このような状況で、どうやってこの競技を普及させることができるのだろう? まったく不可能だと言わなければならない。

石山氏は、中国では卓球やバドミントンなどの1対1の競技や個人競技が比較的成功しやすいと述べている。なぜなら、アスリートは個人の能力で勝つことができるからだ。しかし、バスケットボールやサッカーのようなチームプレーの競技では、多くの人が関与するため、通常は管理上の問題が、当然発生する。

郭君氏は、中国のサッカーや他のいくつかのスポーツに問題があるのは、必ず体制的な理由や腐敗の原因があると指摘している。現在の中国共産党が主導する文化や管理モデルもその一因だと思っている。なぜなら、中共モデルは統一性と標準化を重視しているからだ。中国のサッカーも同様で、多くの少年サッカーでは、コーチが選手を選ぶ際や基本技術のトレーニングにおいて、基本動作が過度に標準化されている。例えば、身長や短距離走の速度などが挙げられている。もちろん、これらの条件は重要であるが、サッカーにおいてはおそらく最も重要な要素ではない。

郭君氏は次のように述べた。世界には多くのスーパースター、例えば、ペレやマラドーナ、さらにはメッシのような選手たちは、身長がそれほど高くなく、短距離のスピードも特に優れているわけではない。しかし、彼らはテクニックにおいて特に優れている。一方、中国の少年サッカーでは、身長やスピードに対する要求が非常に厳しく、基準に合わない選手は一律に排除されるため、まるで一票否決(硬直した決定方法)のような感覚がある。これは個人の条件や技術の標準化を意味している。また、戦術の標準化も存在し、これはトレーニングとも関連しており、戦術の規範を重視しているが、選手が、試合中に個々のひらめきやインスピレーションを発揮する機会が基本的に欠けている。あまりにも厳しい戦術要求は、選手の創造性を抑圧することになる。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
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