日本製鉄は141億ドルでUSスチールを買収する計画を進めているが、政治的な不確実性に直面している。米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が審査を延期したため、この戦略的買収は11月の米国大統領選挙後に決定される見込みである。
ロイター通信の報道によると、関係者は対米外国投資委員会が、この取引の国家安全保障への影響を評価するために、より多くの時間が必要であると述べている。また、関連する関係者とのコミュニケーションも必要であるという。再提出後、同委員会は90日間の審査期間を設け、その後に決定を下すことになる。
ワシントン・ポストの報道によると、対米外国投資委員会は9月17日に審査期限を延長することを決定した。もともとは9月23日までに、同委員会がホワイトハウスに対してこの取引を阻止すべきかどうかを正式に提言する予定だったが、この延長により、官僚たちは決定を大統領選挙後に持ち越すことができるようになった。
この動きは、両社にとって一筋の希望をもたらしている。8月末、対米外国投資委員会は両社に対し、提案された協力が米国の鋼鉄供給チェーンを弱体化させ、国家安全保障を脅かす可能性があると警告する書簡を送っていた。
日本の鉄鋼大手である日本製鉄は昨年12月に約2兆100億円(約141億ドル)を投じて米国のUSスチールを買収する計画を発表した。しかし、労働組合の反対やバイデン大統領の反対立場により、この取引の見通しは不確実性に満ちているのが現状だ。
今年3月、バイデン大統領はこの取引に対する反対を公に表明し、「アメリカの鉄鋼労働者によって支えられる強力な鉄鋼会社を維持する必要がある」と強調した。バイデン大統領は数か月間この取引に反対し続けたが、直接的に買収を阻止することはせず、米国財務省傘下の対米外国投資委員会にこの案件を審査させた。
この買収提案はアメリカの選挙の重要な焦点となっており、特に激戦州であるペンシルベニア州では、USスチールとその買収に反対するアメリカ鉄鋼労働者連合(USW)が存在している。
共和党の大統領候補トランプ氏と民主党の候補ハリス氏もこの取引に反対している。
CFIUSによる審査延期の背景
先週、ロイター通信は情報筋の話を引用し、日本製鉄の森高弘副社長とUSスチールのデイビッド・バリットCEOが9月11日に、アメリカの高官と会談し、この買収案を救おうとしたと報じた。
9月11日、いくつかのアメリカの商業団体がジャネット・イエレン財務長官に手紙を送り、この買収案の審査に対する政治的圧力について懸念を表明した。彼らは「対米外国投資委員会の手続きがその権限を超えて、政治的な議題を推進するために利用されており、アメリカの経済と労働者を危険にさらしている」と指摘した。
これに対して、日本製鉄とUSスチールは100ページにわたる手紙で反論し、この取引が実際にはアメリカの鉄鋼生産を強化し、同盟国の企業が困難に直面しているアメリカの重要産業に、今すぐ投入すべき資金を注入することを可能にすると述べた。
USスチールは長年にわたり業績が振るわず、施設には数十億ドルの新たな投資が必要であると警告している。日本製鉄との取引が成立しなければ、一部の工場が閉鎖され、会社の本社もピッツバーグを離れる可能性があるとしている。
9月17日、USスチールのバリットCEOは『デトロイトニュース』のインタビューで、バイデン大統領や大統領候補、労働組合の抵抗に直面しているにもかかわらず、最終的に同社が日本製鉄に売却されると予想していると述べた。
その日、バリットCEOはデトロイト経済クラブでの講演後に次のように述べた。「私たちは売却取引が成功することに自信を持っている。日本の企業と協力することで、私たちの戦略はより良く、より大きくなり、私たちの業務はより安全になり、従業員や顧客、そして道中のすべての人々に対してより多くの機会を創出することができる」
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