インド 中共主導のRCEP参加を拒否 貿易行為の不透明性を理由に

2024/09/24
更新: 2024/09/24

インド商務省大臣は、インドが、中国共産党(中共)主導の「地域的な包括的経済連携」(RCEP)への参加を拒否したことを明らかにし、中共との自由貿易協定の締結がインドの利益に合わないと強調した。

9月22日にCNBCのインタビューを受けたインドのピユシュ・ゴヤル商工大臣は、「インドはRCEPに参加しない。RCEPがASEANの設立時の指導原則を反映していないこと、また中国との自由貿易協定を結ぶことがインドの国益に合致しないからである」と述べた。

RCEPはASEANの10か国によって発起され、その後、自由貿易協定を締結している中国、日本、韓国、豪州、ニュージーランドの5か国が招待されたRCEPは2020年11月15日に東アジア首脳会議の期間中に正式に署名され、2022年1月に発効した。中国がRCEP参加国の中で最大の経済大国であり、中共政府が積極的にこの協定を推進しているため、中共はRCEPの背後にいる主導的な存在として広く認識されている。

RCEPの交渉は2013年に開始され、当初はインドも参加していたが、インドは2019年に未解決の「核心的な利益」を理由に協定への参加を見送った。この「核心的な利益」について、当時インド側から詳細な説明はなかった。

ゴヤル氏は、当時すでに中国はASEAN、日本、韓国と自由貿易協定を締結していたことを指摘した。

「RCEPはインドの農業や中小企業の期待に応えるものではなく、事実上、中国との自由貿易協定に過ぎない」と述べた。

また、ゴヤル氏は、中共の貿易行為が極めて不透明であることを指摘した。インドの立場から見ると、不透明な経済体と競争することがどれほど難しいかを強調した。

「もちろん、国内では、誰も極めて不透明な経済体と自由貿易協定を結びたがらない。この経済体の貿易システム、政治システム、経済管理の方法は、民主主義の世界が求めるものとは全く異なる」と同氏は述べた。

中共の貿易行為とその影響

ゴヤル氏はさらに、中共が世界貿易機関(WTO)の政策を利用して、自らの利益を得ていると非難し、世界中の経済体へ品質基準を満たさない低価格商品を大量に輸出していると指摘した。

国内需要が低迷する中で、中国は自国の製造業の生産能力を引き上げ、過剰な製品を海外に輸出することを選んだ。この政策は、中共の二つの目標を反映している。一つ目は、包括的な産業供給チェーンを構築し、外国製品への依存を減らすこと。二つ目は、世界の他の国や地域が、中国の供給チェーンに、より依存するようにすること。

中国は現在、世界の製造業における市場シェアの30%に達している。中国の製造業による貿易黒字は、世界のGDPにおいて大きな割合を占めており、年間2%のペースで急速に増加している。この割合は、日本とドイツの製造業が最盛期に達成した貿易黒字の合計を上回っている。

米財務省の国際問題担当次官であるジェイ・シャンボー氏は、多くの国がアメリカと同様に、中国の市場に反する行動が引き起こす世界的な悪影響を解決することを目指していると指摘した。

中国の貿易相手国であるアメリカや欧州、さらには中国に比較的友好的なアジアの国々も、中国からの安価な商品を抑制するために、関税やその他の貿易障壁を徐々に引き上げている。

9月10日、インドの財務省は、中国およびその隣国であるベトナムから輸入される特定の鉄鋼製品に対して、12%から30%の関税を課すという命令を発表した。この措置は、国内産業を保護し、促進することを目的としている。

現在、中国の不動産危機が続いており、国内の建設業が縮小しているため、鉄鋼の供給が過剰となっている。4月から7月にかけて、インドは、中国から最大の鉄鋼を輸入しており、約80.7万トンの鉄鋼を輸入した。次に多いのは日本と韓国である。

鉄鋼・エネルギー市場のコンサルティング会社・BigMintのデータによれば、輸入の増加と輸出の低迷により、インドの鉄鋼価格は過去3年以上の最低水準にまで急落している。

鄭孝祺