岸田首相の後継を選ぶ自民党総裁選は27日午後、党本部で決戦投票が行われた。決戦投票では、石破茂・元幹事長(67)が215票(議員票189票、都道府県票26票)を獲得し、新総裁に選出された。高市早苗経済安全保障相(63)が194票(議員票173票、都道府県票21票)で2位となった。
1回目の投票では、高市氏で181票(議員票72票、党員票109票)を獲得し1位で、154票(議員票46票、党員票108票)を獲得した石破氏が2位だったが、決戦投票で石破氏が逆転。
決戦投票では、麻生派が高市氏に投票したとされるも、3位の小泉氏陣営や、決戦投票で高市氏以外への投票を呼び掛けていた旧岸田派の票が石破氏に流れ、石破氏の勝因につながったとみられる。
決戦投票後の演説で、石破氏は「私どもは3年余、野にありました。安倍総裁のもとで私は幹事長を拝命し、自由闊達な議論ができる自由民主党、公平公正な自由民主党、そして謙虚な自由民主党、みんなが心を一にして、政権を奪還をいたしました。もう一度そのときに戻りたいと思っております」と語った。
石破・新総裁は10月1日に召集される臨時国会で首班指名を受け、第102代首相に就任する見通し。任期は2027年9月までの3年間。
石破氏は30日にも党役員・閣僚人事に着手し、新執行部を発足させる予定だ。
27日の東京外国為替市場は、日銀の利上げに対して慎重な発言をしていた高市氏が1回目の投票で1位となったことから一時円安が進んだが、決戦投票で石破氏が新総裁に選出されると円相場は円高に急反発した。
石破氏の総裁選への立候補は今回で5回目となり、「最後の戦い」になると語っていた。石破氏は元銀行員で、父・石破二郎の友人である田中角栄の勧めで政界へ。
1986年に衆院選に自民党公認で出馬して初当選。宮沢喜一内閣のときに自民党を離党したが、1997年に復党した。防衛相、農林水産相および党の要職を歴任しており、安全保障分野の政策通で知られている。
石破氏の主要な政策
憲法改正については、石破氏は賛成で、9条2項削除および国防軍の明記。
選択的夫婦別姓については、石破氏は賛成の立場を表明している。
外交および防衛政策
拒否的抑止力の着実な向上と新時代にふさわしい多国間安全保障体制を構築。
日米の信頼関係を抜本的に強化し日米同盟の実効性を高める。
アジアと歴史に誠実に向き合う外交を展開し、中国や韓国、北朝鮮など近隣諸国をはじめとするアジア諸国との信頼関係の構築に努める。
アジア版NATOの創設を目指す。
政府が主体的に拉致問題に取り組む体制をつくるため、東京と平壌に連絡所を開設して拉致問題の解決を目指す。
経済・社会保障政策
デフレに後戻りしないマクロ経済政策は継続。
地域分散と内需主導型経済への転換。
経済政策の一貫性とリスク対応の機動性確保のため経済金融総合対応会議(日本版 NEC)を創設に重点を置き、財政規律にも配慮した経済財政運営を行う。
株式の配当や売買にかかる金融所得への課税強化。
物価を上回る賃金の実現。
メリハリのきいた患者本位の医療を提供するための診療報酬を拡充。
保険外併用療養の活用で医療を活性化。
本人の意思を尊重した終末期医療を再構築。
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