社会問題 因果応報?

中国・重慶市で交通事故 拉致要員だった公安8人が死亡

2024/09/30
更新: 2024/09/30

陳情者を無理やり拉致しようとする拉致要員(公安ら8人)が任務の最中に交通事故に巻き込まれて死亡したことがわかり、ネット上では「むくいだ」と歓声が広がっている。

事故が起きたのは3か月前の6月17日の明け方だが、事故があったことを明かすSNS投稿は9月28日に公開された。

投稿者によると、その時、北京にやってきた陳情者3人は高速道路を走るタクシーに乗っていた。そこで、地方政府から派遣されてきた公安らが乗った車は高速道路上で車道変更をするなどして陳情者らが乗ったタクシーを追尾し、止めようとした。そうしているうちに、後ろからやってきた大型トラックに追突され、公安車両はそのまま横転し、車上の8人はその場で死亡したという。

悲惨な事故であったが、「拉致要員死亡」のニュースをめぐっては、「悪事を行ってきたことの報いだ」として歓声が広がっているのも事実だ。

(その時の様子)

 

「形骸化された法制度

中国において、民衆による政府機関への陳情は合法的な権利である。

しかし今の中国で、実際にそうした陳情が功を奏し、問題の解決や社会の浄化に役立っているかと言えば、全くそうではない。その原因は、中国社会に発生する不公正な事象があまりにも多く、それが根深いことだ。また「民衆の陳情」という制度が、役所側によって形骸化されていることの2点に集約される。

なお、その2つの原因の背景には「中国の警察および司法が、正義を体現していない」という致命的な欠陥がある。そうした社会の不条理のなかから、大量の陳情民が悲鳴をあげ、藁にもすがる必死の思いで飛び出してくるのだ。

恒例のことだが、北京で重要会議があると、その開催にあわせて、地方政府から受けた不当な扱いや地方官僚の不正などを中央に直訴するため、全国各地から陳情者が北京に殺到するのである。

そこで、この時期を狙って地方からやってくる陳情者を阻止するべく、北京と地方の公安当局が結託して、その排除に努めている。

「陳情者」とマークされている人が、スマホで北京行きの乗車券を購入すれば、地元の公安局へすぐに通知されるようになっており、地元公安は旅行の目的が何であれ、北京を訪ねようとする地元民を、その自宅で、あるいはバスターミナルや鉄道駅などで、待ち伏せして、上京を阻止するのだ。

地方政府が陳情民に「ご執心」な理由は、北京の陳情局に訴える民衆が多いほど、地方政府の「失点」につながるからだ。失点が多ければ、地方官僚の出世に響く。だからこそ、各地方政府は地元陳情者を北京に行かせないように、血眼になって阻止しようとする。もちろん、陳情民を拘束して引き渡してくれる北京警察には、地元政府から「謝礼」の賄賂が渡される。

 

雨の日、北京にある「国家信訪局」前に並んだ陳情民の長蛇の列(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

 

「拉致現場」

7月6日、北京永定門の地下通路内で、陳情者2人が地方からの拉致要員によって無理やり、持ち上げられて、運び去られた。その様子を捉えた動画がSNSにも流れており、その乱暴すぎる拉致のやり方を見た人は、誰もが固唾を飲む(かたずをのむ・どうなる事かと心配し、息を凝らして成り行きを見守る様子)ばかりだった。

 

(拉致現場の様子)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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