今月4日、中国河南省信陽市で、新郎新婦の結婚式が行われる予定だった。新郎一行は新婦を迎えに彼女の家を訪れた。
「新郎側は事前に18.8万元(約394万円)の『彩礼(男性側から女性側へ贈る金銭)』を支払っていた」という。
しかし、結婚式当日、新婦の兄と兄嫁は突然、新郎に対して、さらに18万元(約377万円)の「彩礼」を要求した。この件をめぐって双方は口論となり、花嫁は2度にわたり飛び降り自殺をするまでに追い詰められた。最終的に新郎は新婦を連れて、新婦の実家から「逃亡」した。
しかし、新郎新婦が車で離れようとした際、新婦の兄と兄嫁と思われる男女が、車の前に立ちはだかった。周りの民衆は、新郎新婦を行かせまいとする男女を説得し、最終的に周囲の人々によって男女は「排除」された。別の動画では、警察が現場に登場し、先ほどの男女を「教育」する姿もあった。
(中国国内の情報を発信する、著名な旧ツイッター、Ⅹアカウント「李老師不是你老師⦅李先生はあなたの先生ではない⦆」による関連事件の投稿)
「彩礼」とは、結婚の際に男性側から女性側へ贈る金銭のことで、日本の持参金や結納金に相当する。しかし今回の事件では、新婦の「値段」として扱われている。この事件に対しては、新婦家族への非難コメントが多く寄せられた。「神聖な結婚式が、値段をつけた人身売買に成り下がっている」「この世の中は、どうかしている」といった嘆きの声が広がった。
新婦の「値段」
中国では、離婚率が急増する一方で、若者の結婚率のほうは低下の一途をたどっている。その主な原因は、就職難や生活基盤の不安定さであり、若者が人生の希望を持ちにくい環境にあるからだ。その結果、家や車を買わず、子供も持たないという選択をする若者が増えている。
苦しい時代を若い2人でともに支え合って生きるという意味で、極めてシンプルなかたちでの「結婚」があってもよさそうなものだが、そうした理想論とは裏腹に、中国の若者たちは結婚を選択しなくなったのだ。
その理由の一つは、中国人の普遍的な価値観として、結婚に付随する各種の「条件」を無視できないからだろう。この場合に必要とされる条件とは、不可視的な心や相手の人柄のことではなく、生々しい金銭を意味している。
中国で結婚する際、男性側から贈るとされる「彩礼」を女性(および女性側の家)が求めることが多い。近年、この彩礼の金額があまりにも高騰していることが、結婚の障害になっていると、ネット上でも熱い議論が交わされている。
もちろん全ての女性が彩礼を要求するわけではない。なかには「2人が幸せに暮らせるのなら、彩礼はいらない」といってくれる女性側の家庭もあるが、それは少数派だ。
最近では、女性側が見合いの段階で「この金額の彩礼が必要です」と最初から条件として提示することも多くなっている。彩礼のほかにも、男性が「車、家、貯金」などを所有していることが結婚の前提条件とされるケースもある。
さらに、結婚式当日になって「新婦側が突然、彩礼の額を吊り上げる」ケースが中国では多くなっている。そのため「結婚式当日に新婦が突然彩礼を値上げして、破談になった」といった話題が頻繁に取り上げられている。
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