野村証券の国債取引不正に 財務省が資格停止措置

2024/10/12
更新: 2024/10/12

財務省は11日、証券最大手「野村証券」が日本国債の先物取引で価格を不正に操作したとして、同社に対し国債の入札に有利な条件で参加できる資格を1か月間停止することを決めた。この措置は市場の透明性と公平性を守るための厳格な対応の一環であり、2021年3月に発生した事件に対する具体的な処分である。

2021年3月9日、野村証券のトレーダー(債券や株式などの証券の売買を仲介する職種)は大阪取引所で行われた長期国債先物取引において、不正な手法「見せ玉」を用いて市場価格を操作した。この手法は、売買の意思がないにもかかわらず大量の売り注文または買い注文を出し、市場参加者に誤った信号を送るものである。このトレーダーは特に売りポジションを作り、価格が下がると見込んで安く買い戻し、約148万円の不正利益を得た。

この不正行為は、2024年9月25日に証券取引等監視委員会が金融庁に課徴金納付命令の発出を勧告する形で表面化した。監視委員会はこの取引を詳細に調査し、トレーダーが見せ玉を実施した瞬間の取引記録を分析することで不正が行われたことを突き止めた。

監視委員会はこの不正行為に対して、野村証券に2176万円の課徴金を課すよう金融庁に勧告した。この課徴金の額は、不正によって得た利益を大きく上回るもので、厳格な市場監視と法規制遵守の重要性を示すものである。

一方、鈴木金融担当大臣は事件について「極めて遺憾」と述べ、市場の公正性と透明性の保持が重要であると強調した。また、財務省は、野村証券に対して国債市場特別参加者としての特別資格を一時停止する処分を下した。この処分は2024年10月15日から1か月間有効で、野村証券が市場での信頼を回復するための措置として、再発防止策の提示を求めている。

大紀元日本 STAFF
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