トランプ氏 中国の台湾封鎖に対する軍事力行使は「必要ない」と発言

2024/10/22
更新: 2024/10/22

トランプ氏は10月17日、ウォール・ストリート・ジャーナルの編集委員会に対し、中国製品に対する関税を150〜200%に引き上げ、習近平に台湾封鎖を断念させる考えを示した。

トランプ前米大統領は、中国が台湾を封鎖する事態に対して「軍事力を使う必要はない」と言った。その理由として、「私がクレイジーであることを知っている 」ためだと述べた。

台湾の貿易ルートを遮断し、資源不足とパニックを引き起こして台湾に降伏を強いる封鎖戦術は、中国共産党(中共)が台湾を支配下に置くために使用する可能性のある手段とされている。

トランプ氏の軍事力不使用の発言は、多くのアメリカ人の考えと一致している。シカゴグローバル問題評議会の年次調査によると、台湾封鎖に対して米海軍を使用することへの支持は年々減少しており、2022年には60%以上が支持していたが、昨年は半数に減り、今年は37%にまで下がっている。

同シンクタンクによれば、アメリカ国民は台湾が現状を維持することを望んでおり、台湾独立または中国本土との統一には賛成していない。また、アメリカ国民は台湾の国際機関への参加や、武器供給などの支援は支持しているが、米軍を台湾に派遣することには反対している。

バイデン政権の曖昧な台湾政策

バイデン米大統領はこれまで、中共政権が台湾を武力で併合しようとした場合、アメリカが台湾を防衛すると何度か発言してきた。しかし、これらの発言は毎回、政府高官によって撤回され、アメリカの政策は意図的に曖昧にしていると説明されている。

カマラ・ハリス副大統領も2022年9月に、アメリカは「現状の一方的な変更に反対し、台湾の自衛を支持し続ける」と述べ、これまでの政策を踏襲した。

トランプ氏の発言は、台中間の緊張が高まる中で行われた。

中華人民共和国(PRC)と台湾の中華民国(ROC)は、それぞれ10月1日と10月10日に国慶節を祝った。台湾の国慶節を前にした10月5日、頼清徳台湾総統はPRCが75周年を迎えた一方、ROCは113周年を迎えると述べた。

頼総統は、10月10日の国慶節の演説で、「年齢から考えると、中華人民共和国が中華民国の『母国』になることはあり得ない」とし、「むしろ、中華民国が75歳以上の中国本土の人々の『母国』かもしれない」と強調した。

頼氏が台湾の主権を再確認したことに対し、北京政府は4日後に「聯合利剣-2024B」と名付けた大規模な軍事演習を行った。これは、頼総統の就任直後、中共が5月23日、24日に実施した「聯合利剣-2024A」演習に続くものだ。今回の軍事演習は初めて「重要港湾と地域の封鎖」が焦点に含まれた。

中共当局は、この「2024-B」演習を頼氏の「台湾独立論」に対する「断固たる懲罰」と表現した。今回の演習では、4つの沿岸警備隊艦隊が台湾を包囲し、2022年5月と8月に中共がアメリカのペロシ元下院議長の台湾訪問を受けて展開した演習よりも、さらに台湾に接近した。

元中共海軍中将で、現在はアメリカで活動する姚誠氏によると、中共は1980年代後半から台湾封鎖の緊急計画に取り組んできたという。

姚氏は、10月16日に大紀元の姉妹メディアNTDテレビに対し、中共は費用面の問題から、台湾への武力侵攻の選択肢を一時的に棚上げしていると述べた。封鎖戦術が最も実現可能な選択肢とされていると語った。

ワシントンに拠点を置くシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は、8月の報告書で、経済封鎖、サイバー攻撃、軍事爆撃などの組み合わせによる複数の台湾封鎖のシナリオを示している。

10月14日の「聯合利剣-2024B」演習は13時間にわたり、実弾は使用されなかった。姚氏によると、これは人民解放軍(中共軍)の陸軍、海軍、空軍、ロケット軍が予定地点に迅速に展開し、台湾を封鎖するためのリハーサルであったという。

アメリカ防総省は、10月14日の演習を「無責任で不相応、そして不安定化を招く行為」と非難した。また、ブリンケン米国務長官は、中共が頼氏の演説を「挑発的行動の口実」にすることを警告した。

ワシントンにある研究機関、民主主義防衛財団のシニア研究員であるクレイグ・シングルトン氏によれば、アメリカの反応は不十分だという。

シングルトン氏は国防総省に対し、西太平洋に空母打撃群を戻すよう促し、中国沿岸警備隊の軍事化に関与する中国企業への新たな制裁を検討するよう提言した。

10月15日から16日にかけて、習近平は台湾に面した中国本土の福建省を訪問したが、東部戦区に駐留する海軍を訪問したという公の報道はなかった。10月17日には安徽省のロケット軍ミサイル旅団を視察し、中国の「戦略的抑止力と戦闘能力の強化」を指示した。

先月、中共は44年ぶりに南太平洋へ大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射試験を行った。

Terri Wu
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