トランプ前大統領 ラテン系アメリカ人向け円卓会議を開催

2024/10/23
更新: 2024/10/31

トランプ前大統領は10月22日、フロリダ州マイアミ・ドーラルにある自身のリゾートで「ラテン系アメリカ人のためのトランプ」円卓会議を開催した。同日、カマラ・ハリス副大統領は、ヒスパニック系テレビ局テレムンドのインタビューに出演した。

大統領選の投票日が2週間先に迫るなか、両候補がラテン系有権者に向けたアピールを強化している。歴史的に民主党支持が多いラテン系有権者層が、近年トランプ氏に傾きつつあるためだ。USAトゥデイとサフォーク大学による最新の世論調査では、ラテン系有権者の49%がトランプ氏を支持しており、ハリス氏の支持率(38%)を上回っている。

トランプ氏の円卓会議には、南フロリダ州の共和党有名な政治家やラテン系ビジネスリーダーが参加し、トランプ氏は「国境問題が経済よりも重要だ」と強調した。バイデン政権の国境政策を批判し、「大統領令で国境を封鎖する」と明言し、「国境を閉じる、それで終わりだ」と語った。

一方、ハリス副大統領はテレムンド紙とのインタビューで、ラテン系アメリカ人に恩恵をもたらす新たな経済政策を発表した。内容は「中小企業や起業家への投資、専門能力開発による機会拡大」の取り組みも含まれている。

「ラテン系の人々には夢があり、努力する姿勢があるが、必ずしもそれを実現する機会があるわけではない。テン系有権者は、自分たちの夢に投資してくれる大統領を望んでいることを理解している。私は働く人々の気持ちを理解しているし、人々が子供たちに抱く夢、そしてその夢を実現するために一生懸命働く意志があることも理解している。…私たちは機会を作らなければならない」と語った。

ハリス副大統領、新たな経済提案を発表

ハリス氏は、「労働者を支える強い経済を実現する」との姿勢を示し、「ラテン系男性がどのような影響を受けるかを常に意識している」と述べた。

具体的には、見習い制度などの研修プログラムの拡充や、特定の職種における不要な学位要件の撤廃を提案した。また、高賃金の職を目指した研修モデルを強化し、企業、労働組合、コミュニティカレッジ、宗教団体、ヒスパニック系機関と連携していく考えを示した。

さらに、ラテン系起業家に対し、最大2万ドルの返済不要のビジネスローンを100万件提供する計画も発表した。これは今月初めに黒人男性有権者向けに提案した内容と類似している。

トランプ氏の円卓会議、熱気に包まれる

22日のトランプ氏の円卓会議には、フロリダ州選出のリック・スコット上院議員、マイアミ市長フランシス・スアレス氏、ハイアリア市長エステバン・ボボ氏が登壇。

スコット議員は「ラテン系票が今回の選挙の決定要因になる」と述べ、民主党の対立候補デビー・ムカセル・パウエル氏との接戦においてもラテン系票の重要性を強調した。

「選挙日は毎日だ、11月5日まで続く」とスコット氏は聴衆に訴え、10月21日に始まったフロリダ州の期日前投票制度を活用するよう促した。

同州では選挙日の10日前から期日前投票が可能で、各郡の選挙管理者は選挙日の11~15日前からの追加投票も許可されている。

トランプ氏支持のラテン系有権者たち

円卓会議の参加者の多くはラテン系有権者で、トランプ氏の政策に熱意を示していた。

「私たちは法に基づく移民審査を支持し、まちの安全を最優先に考えている」

このように話したのは、フロリダ州ブロワード郡在住のコロンビア系アメリカ人で「リパブリカン・アミーゴス」の共同創設者であるマルタ・メサさん。

マルタ・メサは共和党アミーゴスの共同創設者で、2024年10月22日にマイアミで行われた「トランプを支持するラテン系アメリカ人」の円卓会議に出席した(Jacob Burg/The Epoch Times)

同氏は「私たちは勤勉さを重視し、施しを好まない。多くの人がアメリカンドリームを実現できると信じているからこそ、一生懸命働いて家を買い、職を得て、事業を立ち上げようとしている」と述べた。

「だが同時に、安全な環境で家族を育てたいので、開かれた国境は望んでいない」と強調した。

ヒューストンからトランプ氏の演説を聞きに来たリチャード・ベガさんは、なぜ多くのラテン系アメリカ人が民主党から離れているのかの理由について説明した。

牧師のリチャード・ベガ氏は、2024年10月22日にマイアミで行われた「トランプを支持するラテン系アメリカ人」の円卓会議に参加した(Jacob Burg/The Epoch Times)

「ラテン系の価値観はもともと保守的な面があるが、それでも長年民主党に投票してきた。しかし、最近では多くのラテン系有権者が不満を抱き、立ち上がり始めている。それが近年の大きな変化だ」と述べた。

「特にラテン系コミュニティでは、民主党が10年前と違うと感じる人たちが党を離れている」とし、近年の党の価値観の変化が大きな要因であると指摘した。