韓国LG化学 特許盗用で中国企業を提訴

2024/10/26
更新: 2024/10/26

韓国のLG化学が、ソウル中央地方裁判所に対し、特許侵害で中国の正極材メーカー容百新能源科技の韓国子会社である載世能源を提訴した。

裁判所はLG化学の証拠保全申請を受け入れ、載世能源の工場に対して関連手続きを実施した。EV向け大型電池の特許技術をめぐる韓国企業による中国企業への訴訟は今回が初めて。

韓国の業界が10月23日に明らかにしたところによると、LG化学が容百科技の正極材サンプルを分析した結果、自社の複数の特許が盗用された事が確認されたという。分析結果から、容百科技がLG化学のNCM(ニッケル、コバルト、マンガン)正極材の技術を無断で使用し、載世能源を通じて製品を製造・販売していたことが判明した。

正極材はリチウムイオン電池のプラス(正極)の材料で電池の生産コストの約40%を占め、電池の寿命を左右する重要な要素だ。LG化学は2006年に世界で初めてNCM正極材料を量産化し、現在では全世界で1300件以上の関連特許を保有している。

容百科技は、中国最大の車載用高性能正極材メーカーであり、高ニッケルNCMの生産で知られている。同社は米国の電池輸入規制を回避し、米国のインフレ抑制法(IRA)に基づく税額控除を享受するために、韓国に子会社の載世能源を設立した。載世能源は、韓国の忠州市で正極材料工場を運営し、年間10万トン以上の生産を計画している。

LG化学は、容百科技のサンプル分析を通じて特許の盗用を確認した後、今回の訴訟に踏み切った。

今回の訴訟は、韓国企業がEV用中大型電池の特許技術をめぐり中国企業に対して初めて法的措置を取った事例であり、業界ではこれが今後の特許紛争の基準となる可能性があるとみている。

LG化学は裁判所に提訴したほか、今年初めには韓国産業通商資源部傘下の貿易委員会にも、不正競争行為の疑いで容百科技を告発した。また、他に中国企業2社も同様の理由で告発されている。

韓国は長年、中国共産党(中共)による技術盗用の主要なターゲットとなっており、特に半導体や電池などの核心産業技術が狙われている。韓国警察庁国家捜査本部のデータによれば、2013年から2023年の10年間で、韓国からの技術流出の67%が中国に流れていたという。

また、今年上半期には、韓国の半導体や電池など国家の基幹技術が海外に流出したケースのほとんどが中国向けだった。統計によると、今年上半期に12件の技術流出が確認され、そのうち10件が中国への流出だった。

今年初め、韓国警察は中共が韓国の電池技術を盗んだ事件を摘発したと発表し、サムスンSDIやSK Onの技術を盗んだ疑いで元・現職の5人が検察に引き渡された。この事件に関与した中国企業は、蜂巣能源(韓国)、蜂巣能源の中国本社、およびその親会社・長城汽車である。

かつて世界市場で首位を誇った韓国の電池産業は、中共の低価格戦略や技術盗用により、2021年には中国に追い越され、シェアの差が広がっている。韓国エネルギー市場分析会社SNEリサーチによると、今年1月から8月までの世界の電池市場シェアにおいて、上位10社のうち6社が中国企業で、そのシェアは65.1%に達した。一方、LGエネルギーソリューション、SK On、サムスンSDIといった韓国の主要3社は、昨年比でシェアが3.4ポイント減少し、21.1%にとどまった。

米国のバイデン大統領は5月、EV、コンピュータチップ、重要鉱物など中国からの輸入品に関税を大幅に引き上げ、「中共が技術を盗む行為は不正である」と非難した。

大統領は「中共は過剰生産品を市場に投げ売りし、世界中の企業を破産に追い込んでいる。彼らはサイバースパイやその他の手段を使って『公然と技術を盗んでいる』。これは競争ではなく、明確な不正行為だ」と述べた。

呉歓心
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