中国経済が低迷を続ける中、世界中の大手企業は中国での事業を縮小し、価格を引き下げる動きを見せている。中国政府が景気刺激策を講じても、経済回復の兆しは見えない。
中国の経営環境の厳しさが増す
ロイター通信によると、エルメス、ロレアル、コカ・コーラ、ユナイテッド航空、ユニリーバ、メルセデスなどの大手企業は、中国の経済状況について言及している。不動産危機の継続や若年層の高い失業率が影響し、中国の消費者は支出を抑制していると見ている。
一部の企業は、既に中国戦略の見直しに着手していて、フランスの炭素グラファイト製造会社Mersenは、地元企業との競争が厳しくなったため、中国の電力伝送製品工場を閉鎖したと発表している。
また、コカ・コーラのジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は10月23日の決算電話会議で、「中国の経営環境は依然として多くの課題がある」と述べた。
ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOも、「かつては1日約10機が中国に飛んでいたが、もうそんな日々は戻らない」と述べ、現在は1日3便のみの運航が当面続くとの見方を示した。
第3四半期決算に反映される中国経済の低迷
現在進行中の第3四半期の決算発表では、多くの多国籍企業が中国市場からの成長が期待できないことを示している。特に高級ブランド業界は中国経済の後退の影響を大きく受けている。
ルイヴィトン(LVMH)は先週、期待を下回る業績を発表した。中国の消費者信頼感がパンデミック以来の最低水準に落ち込み、ファッション製品への需要が悪化したという。グッチ(ケリンググループ)も中国の需要低迷により主力ブランドのグッチの回復が妨げられ、年間利益が2016年以来の最低水準になる可能性があると警告した。
エルメスは他の競合他社ほど深刻な影響を受けていないものの、中国での客足減少を補うために、平均購入額を引き上げる戦略を取っているのだ。
「双11」セールへの期待も低調である。
中国最大のオンラインショッピングイベント「双11(独身の日)」セールが始まったが、多くの地元サプライヤーは売上成長が横ばいか微増にとどまると予想しているという。消費者の間でも、中国経済の苦境に対する落胆が広がっているとのことだ。
鄭麗さん(46歳)は、「以前は双11を真剣に捉え、衣服や日用品を買い漁っていたが、今年は購買意欲をかき立てるものが何もない」と語った。
外資企業が直面する課題
多国籍企業は中国経済の低迷に加え、他の潜在的な課題にも直面している。欧州の自動車メーカーや白物家電メーカーは、自国市場で中国の安価な製品との競争にさらされているのだ。
また、米国大統領選挙が近づく中、米中貿易摩擦の継続が予想され、トランプ氏は再選された場合、中国製品に60%の輸入関税を課すと述べており、中国産業に大きな圧力をかける可能性があるといい、さらに、欧州連合(EU)は先週、中国製電気自動車に最大35.3%の関税を課すと発表し、北京との貿易摩擦を激化させている。
このような状況下で、多くの外資企業は中国事業戦略の再考を迫られており、今後も中国経済の動向が注目される。
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