2023年度に不登校だった小中学生は前年度比で16%増加し、34万6482人となり、過去最多を更新した。
文部科学省は31日、令和5年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を発表した。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、令和5年度は学校行事や部活動の再開による接触機会の増加や、いじめ防止対策の強化により、いじめの認知件数が増加し、過去最多を記録した。
いじめの状況
いじめの認知件数は小・中・高等学校および特別支援学校を合わせて68万1948件で、前年度の61万5351件を上回り、児童生徒1千人当たりの認知件数は53.3件(前年度47.7件)に増加した。また、重大ないじめ事案も923件(前年度706件)発生しており、深刻な状況が続いている。
小・中学校および特別支援学校において、最も多く見られるいじめの内容は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」であり、次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」と続いている。
高等学校では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多であり、次いで「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」といったネット上でのいじめが多くなっている。
また、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」件数は全体で2万3920件に達しており、増加傾向が続いている。
文科省は、いじめ防止対策推進法に基づき、積極的な認知と組織的対応の徹底を進めるほか、こども家庭庁と連携して関係省庁の取り組み強化を図る方針である。
不登校の増加
文科省は「不登校」を、特定の病気や経済的な事情でない理由から、年間で30日以上学校に登校しない状態だと定義している。
不登校児童生徒数は過去10年連続で増加し、そのうち55.4%が90日以上欠席している。
小・中学校における不登校とされる児童生徒の数は29万9048人前年度から5万4108人(22.1%)増加し、過去最多となった。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度2.6%) 。高等学校においても、不登校生徒は6万575人に達した。前年度から9590人(18.8%)増加した。 不登校生徒が在籍生徒に占める割合は2.0%(前年度1.7%)と、こちらも増加傾向にある。
文科省は、令和6年度の概算要求において、いじめと不登校対策の強化を掲げている。いじめについては、こども家庭庁と協力し、地域における防止対策の体制構築を進めるほか、いじめの重大事態に対する調査アドバイザーの導入を検討している。不登校対策については、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」に基づき、学びの場の確保や心のサポート強化に努めるとする。
今後も文部科学省は関係機関と連携し、児童生徒が安心して学べる環境の整備を進め、いじめや不登校に対応するための取り組みを強化していく方針である。
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