2024年10月4日に掲載した記事を再掲載
中国の通信機器大手「ファーウェイ(華為)」が製造した世界初となる3つ折りの折り畳み式スマートフォンが先月20日から中国で発売されている。
先月10日、ファーウェイの自動車事業トップ余承東・董事長は、新製品発表カンファレンスでファーウェイが発売した世界初の三つ折りスマホ「Mate XT」を発表。独自で開発したと主張しているが、その由来は韓国のサムスン電子である可能性が高い。
「3つ折りスマホ」は華為が本当に独自開発?
中国メディアの「新浪財経」の先月12日の報道によると、有機ELディスプレイ(OLED)業界観察メディア「Wit OLED」は最近、業界関係者の話として、中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)が「Mate XT」向けに低温多結晶酸化物(LTPO)ー有機EL(OLED)ディスプレイをファーウェイに供給していると伝えた。
注目すべき点は、京東方科技が2021年にファーウェイに先んじて、携帯電話やタブレットのための三つ折りの有機EL端末の実証実験に成功していることだ。京東方科技はこの技術は「独自で研究開発した」と主張していたが、ファーウェイ側も三つ折りスマホ「Mate XT」について独自で開発したと語っている。ファーウェイと京東科技の意見がちぐはぐとなった。
京東方科技の陳延順・董事長はメディアに対し、京東方科技とファーウェイは折り畳みスクリーンの分野で非常に緊密な協力関係にあると述べ、「ファーウェイとの製品の共同研究開発は前例のないほど緊密に連携している」と述べた
また最近、広東省の週刊新聞「時代週報」の記者は、ファーウェイのサプライヤーに取材を試み、ファーウェイの「3つ折りスクリーン」の本当の開発者が誰であるかを探ろうとしたが、機密保持契約のため、多くの企業は応じようとしなかったという。
最近、昆山科森科技(クンシャン・ケルセン・サイエンス・アンド・テクノロジー)は、折り畳み式のスマホに使用するヒンジの組み立て事業は現在、外部委託された構造部品を使用して組み立てしている。昆山科森科技は家電分野において、スマホ、ラップトップ、タブレットなどの端末製品向けにヒンジなど製造に必要な部品を提供している。
以前、昆山科森科技は半期報告書の中で、同社の顧客にはファーウェイ、アップル、アマゾン、グーグルなどがいると明かしていた。現在、アップルには折りたたみ式の製品はないため、3つ折りスマホのヒンジをファーウェイのみに供給している。
ファーウェイのサプライヤーである凱盛科技(トリンプ・サイエンス・アンド・テクノロジー)の今年の半期報告書によると、同社にはディスプレイ材料と応用材料という2種類の主要な事業セグメントがある。ディスプレイ材料の事業には、主に極薄電子ガラスや極薄フレキシブルガラス(UTG)などが含まれる。
凱盛科技は2019年のインタラクティブプラットフォームで、同社のディスプレイの事業にはスマホ、タブレット、ラップトップなどのディスプレイモジュールが含まれており、サムスン、ファーウェイ、そしてレノボに供給している。
さらに、東睦新材料集団(NBTMニュー・マテリアルズ・グループ)は、ファーウェイ製スマホ用金属粉末射出成形(MIM)精密構造部品の主要サプライヤーの1社でもある。
証券時報の昨年8月の報道によると、東睦新材料集団の子会社は2018年にファーウェイのサプライヤーとなり、ファーウェイのフレキシブル製品のMIM精密構造部品となった。携帯電話のヒンジやスマートウォッチ製品向けのMIM精密構造部品の主要サプライヤーです。
上記の通り、ファーウェイには様々なサプライヤーがいるが、それらのサプライヤーには重大な問題がある。サムスンに対する知的財産の窃盗だ。
2021年、韓国のサムスン電子が同年6月に世界知的所有権機関(WIPO)にデュアル・ヒンジを備えた「3つ折りスマホ」を含む電子機器の特許出願を提出したと多数の中国メディアが報じていた。
ファーウェイは中国共産党との関係が深く、競合他社に対する知的財産の窃盗行為でたびたび問題視されてきた。また専門家によれば、ファーウェイ製のスマートテレビには、遠隔操作で自宅を監視する機能が備わっており、ユーザーのプライバシーが常に監視される可能性があると指摘する声もある。詳しくは下記の記事より閲覧できます。
韓国のサムスンが以前盗まれた有機EL技術は京東方科技や他の中国企業に売却されていた。
2018年11月、韓国検察当局は、同国のサムスングループで有機ELパネル世界最大手、サムスンディスプレーの生産技術を京東方科技など4社に流出させたとして、サムスンの取引先の幹部ら計11人を起訴したと発表。検察によると、最新のスマホのパネルに使う先端技術が中共側に流出した。
韓国検察によると、犯人らはサムスンの技術情報を事前に設立したダミー会社を通じて京東方科技に販売し、約1500億ウォン(約150億円)の報酬を得ていたという。
有機ELは色の再現性や黒の表現に優れ、折り曲げることができるため、液晶パネルに比べてデザインの柔軟性が高く、画面を折り畳める次世代スマホ「フォルタブル」で需要の拡大が見込まれている。今年2月、京東方科技集団が、折りたたみパネルの出荷枚数で韓国のサムスンディスプレイを超え、市場シェア1位となった。
つまり、ファーウェイの3つ折りスマホ「Mate XT」はサムスンから窃盗したサプライヤーの技術に頼って製造しており、ファーウェイが主張する「独自開発」は虚偽である可能性が高いと推察される。
やはりファーウェイはチップが弱点
英市場調査会社カナリスのアナリスト、アンバー・リュー氏はCNNに対し、「ファーウェイとアップル製品の発売時期が同じであることは、中国のハイエンド(携帯電話)市場における新たな競争の波の始まりを示している」との見方を示した。ハイエンド製品、ソフトウェア機能、AIの分野での競争が見込まれる。
オッペンハイマー・アンド・カンパニーの新興技術担当アナリスト、マーティン・ヤン氏は先日、米CNBCの番組「アジアスクワークボックス」で、ファーウェイのチップが依然弱点であると語った。ファーウェイは依然として回路線幅7ナノメートルのチップを使用できないため、複数のコンポーネントや機能を一つのチップにする統合システムオンチップ(SoC)では、ファーウェイとアップルの技術格差が拡大している。
チップ製造では、プロセッサ上のトランジスタのサイズをナノメートルで表す。トランジスタのサイズが小さくなればなるほど、より多くのトランジスタをチップ上に収容できるようになり、チップがより高性能になる。
購入後すぐに故障も修理受け付けず
SNS上で多数の中国の消費者が、購入したファーウェイの折り畳み式スマホに液晶漏れやその他の故障があり、スマホが使用できなくなったと投稿している。消費者を最も怒らせている点は、ファーウェイのアフターサービス部門が様々な口実を理由に無料修理を拒否していることだ。
先月14日、ある消費者は最近、使用1か月も経たないうちに数万元で購入したファーウェイの折りたたみ式スマホに液漏れという重大な品質問題があったことを明らかにしたが、ファーウェイのアフターセールス部門は無料で修理することを拒否した。
三つ折りスマホの実際の売上は予約注文を下回る見通し
ファーウェイは三つ折りスマホ「Mate XT」の予約注文を9月7日から受け付けると発表。数百万件以上の予約注文があった。
マーティン・ヤン氏はまた、昨年発売されたファーウェイの「Mate 60 RS」もかなりの予約注文があったものの、実際の販売には結びつかなかったとCNNに語った。 「実際の出荷台数は(約300万台)にはならないと思う」と同氏は語った。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、アナリストらは、中国では「Mate XT」の価格が約40万円であるのに対し、iPhone16は約12万円であるため、ファーウェイのスマホは消費者にとって法外な価格である可能性があると述べている。
また、先日のCNBCの「ストリート・サイン・アジア」とのインタビューで、IDCのナフケンダル・シン氏は、ファーウェイが折りたたみ式スマートフォンの販売を独占しているものの、価格と機能に対する消費者の懸念により、市場は依然としてニッチであると述べた。
IDCによると、第2四半期の折りたたみスマートフォン出荷台数は390万台で、第2四半期のスマートフォン市場全体の出荷台数2億9220万台の1.3%を占めた。
ブルームバーグの報道によると、調査会社IDCのシニアリサーチアナリスト、アーサー・グオ氏は、スマホメーカーも折り畳み式製品への投資を減速し始めていると述べた。
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