「中国絵画の神品」がレゴに! ギネス記録を認定

2024/11/02
更新: 2024/11/01

香港で唯一の「レゴ認定プロビルダー」の洪子健さんは最近、北宋の絵巻で「神品」と称される「清明上河図」を再現し、ギネス記録に認定しました。香港の沙田に展示されています。洪さんは、「レゴを使って『清明上河図』を作りたいと6〜7年前から考えていた。それが今回本当に実現した」と喜びを表現しました。

香港で唯一の「レゴ認定プロビルダー」の洪子健さん(The Bridge Agency提供)

「清明上河図」は北宋時代の宮廷画家・張択端が描いた名画で、繁栄を極める北宋の都・開封の勝景や人々の行楽を描いています。

レゴ模型では、開封(汴京)の賑わった様子や黄河と淮河 を結ぶ汴河という運河沿いの街並みをパノラマで表現しており、水辺や街並みの情景がうまく構成されています。洪さんはアジア初のレゴ認定マスターで、この称号は世界で21人しか認定されていません。 250万個以上のレゴブロックを使って世界最大の船を造ったことで話題となったが、今回さらに多くのレゴブロック(約300万個)を使って北宋の有名な絵画を再現し、自己記録を更新しました。

「清明上河図」の汴水虹橋(The Bridge Agency提供)

レゴブロックで学ぶ昔の建築の知恵

「『清明上河図』には古代の人の知恵がたくさん詰まっている」と洪子健さんは言います。洪さは制作チームとともに、膨大なデータ収集を行い、香港大学美術学系の講師で中国絵画史の専門家でもある李俊彤博士の助言を受けながら、このレゴを完成させました。

レゴの目玉の一つである「汴水虹橋」は、橋脚や柱はなく、釘を一本も使わず、木組みだけで支えられたアーチ型の橋です。汴河に架けられ、橋の形状が虹に似ていることから、その名前がつけられました。上では馬や歩行者が歩いたり、下では物資を運ぶ船が行き交ったりと、とても賑やかなところです。

「清明上河図」の汴水虹橋(The Bridge Agency提供)

洪子健さんはレゴブロックを使って「虹橋」を再現したとき、当時の建設技術も研究し、レゴを作る上で当時の技術を適用しようと考えました。「実際、レゴの虹橋の工法は、歴史や文献に記録されている紅橋の工法と全く同じ」と語った。

「清明上河図」の汴水虹橋(The Bridge Agency提供)
塔の屋根も精巧に造られています。(The Bridge Agency提供)

外食は宋代より流行

北宋時代の首都・開封の繁栄が詳細に誌された、南宋の孟元老が撰した回想録『東京夢華録』には、「開封には七十二軒の飲食店があり、他の地域には数えきれないほどある」と記されています。 つまり、開封は世界一外食産業が盛んな都市で、有名なレストランが72軒もあったということです。

「勧門」(The Bridge Agency提供)

数あるレストランの中でも、酒楼「孫羊正店」は活気に満ちた明るいレストランとして有名で、竹で組み立てられリボンで飾られた「勧門」が設けられています。

宋代の飲食業の繁栄を示すもう一つの建物は「十千脚店」で、「勧門」には「新酒」と書かれた大きなのぼりが立てられ、十千脚店の看板には左右の木柱に「天之美禄」(天から授かった贈り物)と書かれ、文化的な趣に溢れています。

「清明上河図」(The Bridge Agency提供)

西洋のレゴで東洋の絵画を表現ー東西の円融

洪さんは「清明上河図」をレゴブロックで再現するにあたり、3つの大きな課題に直面したといいます。

「まず、絵画は単色ですが、レゴはカラフルな絵なので、どの色を使って表現するかは大きな課題となる。香港大学美術学部の李博士に資料的な協力を依頼し、できるだけ当時の色に近い色で古都の建物を表現することができた」

「2つ目の課題は、平面図の立体化・視覚化で、絵画を四方から見ることができないため、史料を参照しながら模型の隙間を埋め、創造力で補う必要があった」

「3つ目の課題はキャラクターの表現です。近年、レゴは中国で販売されており、中華風の衣装を着たフィギュアもあるが、それだけでは十分とは言えず、『清明上河図』では街角に歩行者がたくさんいるが、レゴのパーツでは到底足りない。なぜこの宋の時代の絵画のレゴ模型に清朝の服装を着た人物がいるのかと聞かれることがあるが、資源に限りがあり、購入した中国の人形では宋朝の服装を十分に表現できないからとしか言いようがない。髪型については、我々はそれほど多くの衣装の頭飾りを見つけることができなかったので、ファンタジーシリーズの人形の頭飾りをいくつか見つけて追加することしかできなかった」

キャラバン隊(The Bridge Agency提供)

ラクダは中国固有の動物ではなく、西域の動物であり、『清明上河図』にもラクダが登場し、往復するキャラバン隊は当時の交易の隆盛を垣間見ることができると洪さんは語りました。「レゴで作る過程で、一般的な動物はまだ見つけるのは簡単ですが、ラクダを表現するのが大きな課題であった。幸いなことに、私たちはレゴが10年前に発売したラクダのおもちゃをオンラインで購入しましたが、数量は非常に少なく、価格は1個100香港ドルでした。『清明上河図 』の絵にはラクダがそれほど多く描かれていない。最終的には補填できたが、すべてのパーツを見つけるのは簡単ではなかった」

「清明上河図」に一工夫

また、「清明上河図」には洪さんのチームが創作した場面もある。例えば、2階建ての「銀行」が描かれている。これは宋代に「抵当所」と呼ばれ、公的機関の利子預かり所として使われていたものです。抵当所はその預金を元に商人に融資を行うなど、一般的には商業が盛んな地域にたくさん存在していました。

銀行(The Bridge Agency提供)

洪さんは、「宋代は貿易が非常に盛んで、絵画を見ても貿易が盛んであったことが理解できるが、金融取引などはなかった。この部分をこの模型に盛り込みたいと思い、李博士の指導のもと、宋代の文献をもとに創作した」と語りました。

李博士によると、「清明上河図」に描かれた時代には、すでに紙幣と銀行の前身がありました。宋の初期には「交子」がありましたが、宋の徽宗の大観元年(1107年)に正式に「銭引」と改称され、官製紙幣として全国で流通し、やがて北宋と南宋にまたがる世界で最初の紙幣となった。

「清明上河図」(The Bridge Agency提供)
曾蓮
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