日本銀行が1日に発表した「経済・物価情勢の展望」では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価上昇による価格転嫁の影響が徐々に薄れつつあるものの、賃金上昇に伴うサービス価格の上昇が続くことで、現在は2%台半ばを維持している。中長期的な予想物価上昇率も緩やかに上昇している状況だ。
展望によると、2024年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2%台半ばで推移し、その後2025年度および2026年度には概ね2%程度で安定すると見込まれている。これは、過去の輸入物価上昇による価格転嫁の影響が減少する一方で、賃金上昇が物価を支えているためである。
マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まることで、中長期的な予想物価上昇率が上昇し、見通し期間の後半には、日本銀行が掲げる「物価安定の目標」に整合する水準で推移すると考えられる。
さらに、2025年度に向けては、政府による各種施策の影響が押し上げ要因として作用する一方、原油をはじめとする資源価格の下落が物価の押し下げ要因となる見通しである。特にガソリン、電気、ガス代の負担緩和策が段階的に終了することで物価が押し上げられる一方で、原油価格の緩やかな低下が物価に抑制的な影響を与える見込みだ。前回の展望リポートと比較すると、成長率については概ね不変であるが、2025年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、資源価格の下落による影響で若干下振れしている。
物価の上昇に伴い、企業の賃金・価格設定行動も積極的になっており、名目賃金の増加が続くとともに、賃金上昇が販売価格に反映される動きも強まっている。需給ギャップが改善し、企業の価格設定行動が変化することで、中長期的な予想物価上昇率はさらに上昇することが見込まれる。
こうした要因を考慮すると、消費者物価の基調的な上昇率は、需給ギャップの改善と予想物価上昇率の上昇を受け、見通し期間後半には物価安定の目標に沿った水準に達すると予測される。ただし、依然として不確実性が残るため、企業の賃金や価格設定の動向を今後も慎重に見守る必要があるとされる。
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