中国各地の道端で「乞食」をする人たちがいる。その人たちは五体不満足だったり、やせ細っていたりと、見るからに可哀そうな姿をしている。
世間をあまり知らない学生や外国人がお金を恵んであげようとすると、もしそばに「世間をよく知る」中国人がいたら、「やめたほうがいい、お金渡してもその背後の犯罪集団にとられるだけだから」と注意されるかもしれない。
中国では「乞食」をビジネスとする犯罪集団が存在する。人身売買の犯罪集団を通じてか、あるいは、直接自分たちの手で誘拐してきた子供の手足を切り落とし、また目ん玉をくり抜くなどして、人為的に「障害者」にした後、道端に置いて乞食をさせる。もちろん「乞食の成果」は全部犯罪集団の手にわたり、乞食する本人は生存する上での最低限の食事や寝どころを恵んでもらえるだけだ。
これは中国人であれば全員が知っている「中国社会の闇」である。
最近、華人圏で拡散されているSNS投稿動画のなかには、たまたま「犯罪現場」を通りがかった市民が撮影した「犯罪集団」の一員と思われる男の姿があった。男は夜、道端で乞食をしていた障害者の老人を乗ってきた車に載せて「仕事場」からこっそり連れ去った。
(道端で乞食をしていた障害者の老人が深夜車に載せられて「仕事場(道端)」から連れ去られる場面)
関連動画をシェアしたユーザーも、中国の乞食ビジネスの闇に言及したうえで、「これら犯罪集団は普通現地警察とグルだ」と指摘している。
なぜ動画投稿者は「犯罪集団は警察とグル」と信じているのか。
それは、「陳情民や反政府者であれば数秒以内にその居所を突き止められるのに、失踪者となると突き止められられない。中国の監視カメラがその証拠」と、多くの人が指摘しているからだ。
反体制派の人物や民主活動家、あるいは地方政府の不正を中央に訴える陳情者であれば、どこにいようと中国の警察は即時に察知し、居場所を特定できる。
つまり、捜査当局が本気であれば、監視カメラが無数に設置され、市民の通信を完全に傍受している監視大国の中国で、1人の失踪者を探し出すのは決して難しいことではない。しかし、失踪者が(遺体になってからではなく)無事に発見されるケースは極めて少ないのが現状だ。
監視大国の中国で、なぜ失踪者が見つからないのか。
アメリカの中国問題専門家ゴードン・チャン(Gordon Chang)氏は「それは中国共産党(中共)の暗黙の了解を得ているからだ」と指摘する。
つまり、子供をふくむ失踪者が大量に生じる現状について、中共当局が関与、あるいは知りながら黙認していることになる。
中共の下にある全ての組織や機関が、警察もふくめて、そもそも共犯者もしくは「何もしない」という形の協力者なのだ。
失踪した子供はどこに?
近年、中国のSNS上には、失踪した人に関する情報の提供を呼びかける通知があふれている。各地の街中には、「尋ね人」の写真つき看板を手に持ち、泣きながら地面に跪いて、通行人に情報提供を求める失踪者家族の姿が、どこに行っても目に入るのだ。
失踪者は、子供に限らず、中高生や大学生。さらには働き盛りの青年から壮年期の世代までと、非常に幅がある。
失踪した子は「臓器狩り」に遭い、すでに臓器を抜き取られてボロ雑巾のようにどこかの海に捨てられ、あるいは埋められているかもしれない。さもなければ、「人身売買」の手におちてどこか遠い町に売られて、飼い主の「奴隷」になっているかもしれない。あるいは、「乞食ビジネスを専門とする犯罪集団」に身柄をコントロールされて、悲惨な姿にされて乞食をやらされているかもしれない。
親たちは失踪した我が子が直面するであろう悲惨な運命を百も承知だ、それでも探し続けようとするのが親心。
普段の生活を切り詰めて貯蓄した少ない預金を手に、国じゅうの乞食を確認する親も少なくない。
「これが失踪した我が子の写真だが、どこかで見なかったか?」
道行く見知らぬ人に絶えず尋ねる親たちの背中を見ていると、こちらまで悲しくなってくるものだ。
「中国を地獄に変えたのは誰だ?」
とイヤでも考えさせられてしまう。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。