選挙人とは
アメリカ大統領選は、台湾とは異なり、国民の「直接選挙」ではなく、まず各州で「選挙人」が選出され、最終的にはその選挙人たちが「選挙人団」として投票し、次期大統領を決定する仕組みである。
アメリカ全体で538人の選挙人が大統領選で一票を投じる。この538票は、議会の議席数に基づいて決まっており、下院は435席、上院は100席、さらに首都ワシントンD.C.には3票が割り当てられている。
下院議員の数は国勢調査で定められるため、各州ごとの選挙人票数も異なる。例えば、人口の多いカリフォルニア州には54票が割り当てられているのに対し、人口の少ないワイオミング州には3票しかない。
ほとんどの州(メイン州とネブラスカ州を除く)は「勝者総取り」方式を採用しており、州全体で得票数が最も多かった候補にその州の全選挙人票が与えられる。得票率で選挙人を配分する州は、ネブラスカ州とメーン州の2州のみだ。
この選挙制度によって、2016年の大統領選ではヒラリー・クリントン氏が国民投票で300万票以上リードしていたにもかかわらず、最終的には選挙人票が227票にとどまり、対立候補のトランプ氏が304票を獲得し、ホワイトハウス入りを果たした。
選挙人制度の由来
ルイビル大学マコーネルセンターのゲイリー・グレッグ所長は、アメリカの「選挙人制度」について、各州の選挙人の数は、州の議会下院議員の人数プラス上院議員2名の数字と等しい、これらの選挙人が大統領を選出する役割を果たすと説明した。
アメリカの建国の父たちは、選挙人制度を通じて大統領選が国民の意思を反映し、独裁的な権力集中を防ぐよう意図していた。
当時は現在のような通信手段もなく、候補者の情報も得にくかったため、直接選挙は難しかったとされる。選挙人の人数を州ごとの議員数に基づくことで、人口の多い州と少ない州のバランスを取る工夫がなされている。
各州の選挙人数は、その州の連邦議員数によって決定され、州の代表権が適切に反映されるよう配慮されている。人口が多い州は人口に比例した多くの下院議席を持ち、人口が少ない州も上院議員2名を有し、大きな州と同等の影響力を持つことになる。
ゲイリー・グレッグ氏は、過去70年間の大統領選挙が常に競争力を維持し、共和党と民主党の大統領を数多く選出してきたことが、この制度の効果を証明していると述べている。
グレッグ氏は、「選挙人団制度は、健全で競争力があり、効果的な選挙を実現する方法であることが証明されている」と述べた。
開票後の流れ
1.選挙人の任命(2024年12月11日)
各州の政府機関は、選挙結果に基づき、12月11日までに選挙人を正式に指名する。州政府は選挙人の確認書類に署名し、これにより選挙人団が確定される。
2.選挙人投票(2024年12月17日)
選挙人は各州の選挙結果を反映し、アメリカ大統領および副大統領を正式に選出する。この投票により、次期大統領の決定が行われる。
3.選挙人投票の集計(2025年1月6日)
連邦議会が集計を行い、選挙人票の結果を確認する。この日をもって、公式に次期大統領が確定される。
4.新大統領の就任宣誓(2025年1月20日)
アメリカ新大統領は就任式で宣誓し、正式に4年間の任期を開始する。
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