石破茂首相は11日の記者会見で、2030年度までの7年間で、半導体やAI分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を表明した。今後数年間にわたり補助金や財政支援を通じて国内半導体の基盤強化を図る。
この動きは、米中貿易摩擦などの世界的なショックを受けて各国がチップのサプライチェーンに対する管理を強化しようとしている中で行われた。
計画には、次世代半導体の大規模生産に向けた財政支援も盛り込まれている。政府機関を通じた債務保証や出資を可能とする法案の準備を進めている。25年の通常国会に提出する予定だ。
特に半導体受託製造企業ラピダスやAIチップの供給業者が恩恵を受けると見られている。
ラピダスは2022年にトヨタ自動車、ソニーグループなど国内の主要企業8社からの出資を受け、次世代半導体の開発・製造を目指している。トヨタ自動車やソニーグループなどが数百億円規模の投資を行い、政府からも強力な支援を受けている。
日本政府も同社を支援しており、2022年度第2次補正予算から最大5900億円の補助を決定。
業界のベテランが率いるラピダスは、IBMやベルギーの研究機関IMECと協力し、2027年から北海道北部で最先端の半導体の量産を目標としている。
昨年、日本政府は約2兆円の予算を投入して国内の半導体産業を支援すると発表した。
今回の新たな支援計画は、政府の総合経済対策の一環であり、11月22日に閣議決定される予定である。また、今後10年間で半導体分野に対し、官民合わせて50兆円の投資を促す方針を示している。政府は160兆円規模の波及効果を見込む。
技術革新が進む現代において、半導体の重要性はますます高まっており、「21世紀の新たな石油」とも称されている。
日本は半導体産業の復興を図る一方、アメリカは同盟国に対して中国の半導体や先端技術の台頭を抑制するための連携を求めている。日中関係が緊張する中で、日本の半導体供給網の強化に向けた意欲はますます高まっている。
政府は国内半導体企業支援に加え、台湾のTSMCや韓国のサムスン、アメリカのマイクロン・テクノロジーなどの海外半導体企業に対しても積極的に投資支援を行い、日本国内への進出を促している。
2023年5月、西村康稔経産相(当時)は、半導体企業のCEOらと会談後に「志を同じくする国々が供給網強化に取り組む中で、日本の役割は重要性を増している」と述べた。
「日本の半導体産業が持つ強大な可能性を再確認した」としている。
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