この頃、中国の大学生に流行している「騎行(きこう)」がとても熱い。
騎行とは日本語でいう「サイクリング」の事だが、参加人数が数十万人と尋常な数で、熱すぎて、ついには中国共産党(中共)当局から取り締まられるようになったほどだ。
この「騎行行動」が始まったのは今年6月、当時、40キロも離れた省内の別の都市・開封市のスープ餃子を食べたくなった鄭州市(河南省)の女子学生4人が自転車に乗って開封市を目指したのだ。学生たちはその時の様子をSNSにシェアして話題になり、他の学生たちもこれを真似るようになった。
それが今月になると「騎行ブーム」は急拡大し、9日深夜には鄭州市の自転車に乗った大学生の大軍が開封市を目指して街を駆け巡った。20万人と言われるその膨大な自転車の列は数十キロにのび、実に壮観な光景が広がっていた。
(河南省鄭州市の大学生大軍による「騎行ブーム」)
関連動画は中国SNSでものすごい勢いで拡散され、「騎行」は瞬く間に中国全土に広がり、北京市、南京、西安、武漢市など各地の大学生もこれに追随した。
なかには、どうしてもその行列に加わりたくて、鄭州行きの列車に乗る他省の学生も続出した。
実際、「騎行」参加者は大学生に限らず、各界の若者や退役軍人も含まれており、なかには 「自由 」の旗を掲げる「勇者」もいた。
「群衆の集団行動」には普段から神経を尖らす当局である。「白紙運動(革命)」の再来を恐れたのか、当局はついには「騎行」を「政治運動」と位置づけて、禁令を出した。
すると、大学生たちは「自転車がダメならば」と、今度は、夜に「集団ランニング」を始めた。
こうした事態を受け、当局は本腰入れて取り締まるようになり、当局からの指示で、各地大学は学生の外出を禁じ、地方当局も交通規制を始めた。
町のシェアサイクル企業までもがこれに協力し、シェアサイクルは所定区域を超えての利用ができなくなったのだ。
まるでゼロコロナ時代の時のような厳しい「封じ込め措置」に、「なぜ私たちを閉じこめるんだ? 大学の外へ出てごはんを食べたいし、遊びたいんだ」と学生たちの反発は強まるばかり。
将来に希望持てない若者はいつ爆発するのかわからない「爆弾」?
「スープ餃子を食べるために開封市を目指す」この「騎行ブーム」は一見、他愛のない、いかにも今どきの若者にありがちな「貧乏旅行」であるように見えるが、「その背後には複雑な社会問題をが隠されている」と多くの専門家は分析する。
就職できない大勢の若者たちが最終的に「何をする」のか、それは中共当局でも予測不可能だ。
この問題について、中国社会民主党の劉因全主席は「将来に希望を見いだせない学生たちにとって、例えそれが小さな事であっても、処理方法が1つでも間違えば、それがきっかけとなり重大な事件を引き起こすきっかけになりかねない」と指摘している。
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