マスク氏 政府効率化省で如何にコスト削減実現?

2024/11/14
更新: 2024/11/14

トランプ氏12日、「政府効率化省」(DOGE)のトップに世界一の富豪マスク氏と元共和党大統領候補のラマスワミ氏を起用すると表明した。トランプ氏は同省の運営については明言していないが、マスク氏は以前に2兆ドルの支出削減という目標を設定していた。

マスク氏の経営手段を見れば、どのように支出を削減するのかに関するヒントが得られるかもしれない。

トランプ氏とマスク氏は、政府効率化省は支出を削減することができると述べたが、一般的に、大規模な予算措置は議会の権限内にある。効率化部門などの外部組織のアドバイスに耳を傾けることも、また無視することもできる。

トランプ氏は政府効率化省は政府の合理化、規制緩和、歳出削減、連邦機関の再編に向けて「政府外からの助言と指導を提供する」と述べた。学校の管理権限を各州に委ね、「ディープステート」という政府職員を大幅削減する意向も示している。

マスク氏は透明性を維持するため、政府効率化省の「行動」を公開して意見を募ると表明した。

自身のXに「政府効率化省のすべての活動は、最大限の透明性を確保するためにオンラインで公開される。国民が、私たちが重要なものを削減している、または無駄なものを削減していないと思うときは、いつでも私たちに知らせてください」と投稿した。

また、「税金の最も馬鹿げた支出のランキング」を用意し、それは「非常に悲劇的である一方、非常に興味深い」と述べた。

ロイター通信によると、10月にマディソン・スクエア・ガーデンで開かれたトランプ氏の集会で、マスク氏は、連邦予算は「少なくとも」2兆ドルは削減されると述べた。議会予算局の推計によると、2024年度の連邦支出総額は6兆7500億ドルである。

マスク氏はEVメーカーのテスラや商業宇宙企業のスペースXなど所有しており、NASAや国防総省とロケットや人工衛星、その他の宇宙ビジネスに関する契約を結んでいるため、深い知識を持っている。

同氏はまた、スペースXのロケット打ち上げに発言権を持つ連邦航空局(FAA)や、テスラのEVの自動運転機能を調査している米国道路交通安全局(NHTSA)など、運輸省の規制当局とも取引してきた。 

ラマスワミ氏は食品医薬品局(FDA)と協力してきた製薬会社ロイヴァント・サイエンシズを設立した。 2023年、同氏はXにFDAの問題のある規制や行動を批判するコンテンツを投稿した。

マスク氏は、複数の企業でコスト削減に関する豊富な経験を持っている。

2022年11月、マスク氏はツイッター(X)買収直後に大規模な人員削減を実施した。従業員の約半数にあたる3700人を解雇した。残っていた従業員2千人の10%を追加解雇した。

スペースXでのコスト削減はさらに注目すべきだ。スペースXは部品の85%を自社生産することで中間コストを削減した。そして、 Falcon 9ロケットの再利用は、長期的なコスト削減に大きく寄与している。

トランプ氏が任命を発表した後、マスク氏は「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」のロゴも発表した。ロゴには柴犬のイメージが採用され、「政府効率部」という文字が添えられている。

トランプ氏は最初の任期中に少なくとも19の政府機関を閉鎖しようとしたが失敗した。

2017年3月、トランプ大統領は連邦機関の効率性、有効性、説明責任の向上と「不必要な連邦機関の廃止または再編」を目的とした大統領令に署名した。この命令は各連邦機関に再編計画の提出を義務付けている。同氏はまた、連邦政府機関内に「規制改革」タスクフォースと職員の創設を求める別の大統領令にも署名した。

今回の政府効率化省の運営には1972年に制定した連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act、FACA)が適用される可能性が高い。この法律は、委員会が提供する助言が迅速かつ客観的であり、一般に公開されることを確保するものだ。また、約1千の委員会とその約6万人のメンバーに対し、費用管理と記録保持を義務付けており、これらのメンバーは大統領や行政部門に随時助言を提供する役割を担っている。

 

李言
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