中国国有企業「中鉄七局集団」が請け負う高速鉄道の工事現場で「質の悪いニセモノの材料が使用されている」と報道した調査記者2人が襲撃されたことがわかったと中国メディアが報じた。
中国国営新華社通信系紙の「経済参考報」の記者2人(王文志氏、程子龍氏)は先月12日、「安徽省の合新高速鉄道の工事現場に使用された建材が安全上のリスクがある、質の悪い模造品であり、要求された正規品とすり替えられていた」と指摘する調査記事を書いた。
問題のその模造品は少し傷がついたらすぐにちぎれ、手でちぎればすぐに切れてしまうというもので、鉄道工事の多くの箇所に使用されているというのだ。
この調査報道は掲載後、注目を集めたため、記者2人は追跡調査を行うべく再度現場へ舞い戻ったところ、複数の男に取り囲まれて襲撃された。記者らは殴打されて負傷し、身柄を拘束され、携帯電話までも奪われたという。
官製メディア記者襲撃事件の後、中鉄七局集団は「すべては出稼ぎの農民労働者がやったことだ」と主張している。
(現場の様子)
関連トピックスをめぐっては、「中国で鉄道事故が絶えないのはおから工事のせいだ」「何かがあると、すぐにアルバイトのせい、外部委託者のせいと責任逃げをするんだね」といった非難の声が寄せられている。
なお「おから工事」とは手抜き工事のことで、中国では、住宅の品質や企業の社会的責任よりも、利益追求をはるかに優先する建築業者が多く、豆腐のおからのように、手で砕けるほどもろい「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれる手抜き工事の住宅が、以前から大きな社会問題となっている。
近年、中国の鉄道事故が絶えない。しかし死傷者が出ようが、事故はたいていは注目されることなく、知らぬうちに「終わっている」のだ。
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