2025年版の「世界大学就業力ランキング」(GEURS)が11月14日に発表された。このランキングでは、雇用主が求職者に対して適応力や職務経験をより重視する傾向が浮き彫りとなった。ランキング上位10校のうち、米国の大学が5校を占め、特に優れた成果を示した。また、英国も3校がトップ10入りを果たした。日本では、東京大学がトップ10にランクインした。
GEURSは、英国の高等教育専門誌「タイムズ高等教育」(THE)とフランスの人材コンサルティング企業Emergingの共同調査によるものだ。高等教育機関の就業力に特化した世界唯一のランキングであり、今回で14回目の発表となる。今年は、33か国の1万3240人の運営・国際マネージャーから計12万9126票を集め、これまでで最大規模の調査となった。
雇用主が求めるスキルの変化
今年の結果によれば、従来のスキルやデジタル思考能力なども依然重要視されているも一方、職務経験の評価はこれまで以上に大きな比重を占めるようになっている。45.9%の雇用主が新しい技術やトレンドを学び、適応する能力を重視し、45.1%がコミュニケーション力やチームワークなどの協働スキルを求めていることが分かった。これらのスキルは、現代の職場で不可欠な要素とされている。
ランキングを共同作成したフランスのEmerging社の共同創設者兼総経理であるサンドリン・ベロック氏は、「就業力に対する関心の高まりが変革を推進しており、大学と雇用主が連携して、現代の労働市場で必要とされる基本的なスキルを卒業生に提供する動きが強まっている」と述べている。
世界の大学の動向
今回は、40を超える国・地域の大学がトップ250にランクインしており、欧州ではノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、オランダ、ベルギー、ドイツなど、多くの国からランクインした。アジア全体では52校が250位以内に入り、昨年より3校増加した。
日本では、9校がトップ250にランクインしている。早稲田大学が22ランク、名古屋大学が19ランク、東北大学が3ランク順位を下げたが、東京大学、大阪大学、東京工業大学、京都大学は昨年とほぼ同じ順位を維持している。
アジアの地域では、香港から香港理工大学や香港大学を含む4校がランクインしたほか、台湾の台湾大学と台湾科技大学がトップ100に入った。
米国では、マサチューセッツ工科大学(MIT)とカリフォルニア工科大学(Caltech)が2年連続で1位と2位を維持。トップ250校中、米国の大学が52校を占め、前年よりわずかに増加している。
英国では、ケンブリッジ大学が5位、オックスフォード大学が7位にランクイン。今年は英国全体で13校がランキング入りを果たしている。
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