「支払い済みなのに納車されない」
「支払ったお金が戻ってこない」
「車のメンテナンスやアフターサービスなども受けられなくなった」
ある日、気づいたらいつも利用している自動車販売店・サービス店が突然、店を締めていた。という事態が近年、中国でよく起こっている。
今月12日も、突如、店を閉めた天津市最大の高級車販売・サービス店(4S店)「永濠奥達」の門前で1500人以上の同店の顧客が抗議をしていた。
抗議理由は、「チャージしたお金が戻ってこない」「メンテナンスなどのアフターサービスパックを数年分まとめて購入したのに、途中でサービスを受けられなくなった」「支払い済みなのに納車されない!」などとなっている。
この大騒ぎを受け、この販売店の親会社「天津永濠集団」は17日、「閉店した販売店は深刻な財務危機を抱えており、顧客の車を予定通り納車できず、また過去3か月間の従業員の給料も全額支払えていないが、いまは資金集めをしている最中だ」と声明を出した。経営者の王氏が最近、公安当局から事情聴取されたという。
閉店した店の職員は、中国メディアに対し、「自分たちは8月から給料をもらっていない、現在約70~80人の従業員が権利擁護の手続きを進めている」と明かしている。
(「永濠奥達」の門前で抗議する顧客)
(スタッフもいない「永濠奥達」の店内)
苦しいディーラー業界
近年、大手自動車ディーラーグループや販売・サービス店は、経営難により店舗の閉鎖、撤退、上場廃止のニュースが絶えない。
著名な高級車ディーラーの「正通汽車」も経営破綻に陥っている。
昨年は、中・高級車を扱い、25年間営業してきた浙江省台州市にある最大手ディーラーの「中通集団」が、19か所の販売店をすべて閉めた。
今年8月、自動車販売大手の広匯汽車は、上場廃止になった。
先月も高級自動車メーカーBMWの世界初の5S販売店*の「北京星徳宝」が突如閉店・営業終了となった。こちらも従業員への給与未払いが数か月分あったという。
5S販売店* 以下の点で優秀な店「Sale(販売)、Spare parts(部品)、Service(サービス)、Survey(調査)、Satisfaction(顧客満足)」
中国自動車流通協会が発表したデータによると、今年上半期、全中国のディーラーの28.8%だけが上半期の販売目標を達成しており、ディーラーの50.8%は赤字状態である。
「中国の自動車ディーラーは、長く続いた価格戦争により利益は少なく、資金の流動性が極度に悪化するなどの問題を抱えている」と中国自動車流通協会は指摘している。
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