百家評論 中国共産党、ロシア、イラン、北朝鮮が形成した悪の同盟を崩壊させること。

トランプに備え 中国軍の報告が示すロシア・ウクライナ停戦阻止と台湾海峡戦争準備

2024/11/26
更新: 2024/11/26

世紀の決戦

トランプ氏の再選が現実となれば、国際地政学はどう変化するのか? 中国共産党(中共)の内部報告によれば、アメリカとの「世紀の決戦」を見据えた準備が進められていると報告されている。この記事では、トランプ氏の外交政策が、中共の戦略に与える影響や、台湾海峡を考慮して慎重に解説する。

トランプ氏が選挙勝利したことは、世界に大きな衝撃を与えた。中共にとって、過去と今後の十年間の最大の戦略目標は台湾の統一だ。トランプ氏が再びアメリカの大統領に就任することで、中共のこの戦略にはどのような重大な変化が生じるのだろうか。中共の幹部とつながりのある元北京大学教師、袁紅冰教授は最近、中共軍隊のシンクタンクの最新報告を明らかにした。それによれば、トランプ氏の勝利は国際的な地政学に重大な変化をもたらし、中共はアメリカと台湾海峡で世紀の決戦に備える必要があるという。

中共軍隊の報告

袁紅冰(えんこうひょう)教授は新唐人の『菁英論壇』番組で、中共軍隊が臨時のシンクタンクを設立し、軍の中央副主席である張又俠(ちょうゆうきょう)が召集人を務め、聯合参謀本部、国防大学、外交部からいわゆるトップの専門家を集めたと述べた。トランプ氏の当選が未確定の時点で、このシンクタンクはトランプ氏の当選が極めて高い確率であると判断したという。

そのため、2024年9月、このシンクタンクは軍の中央委員会および主席のオフィスに報告書を提出した。この報告書によれば、トランプ氏が勝利した場合、国際的な地政学に重大な変化が生じるとされている。報告書の結論は、中共が幻想を捨て、闘争に備え、厳しい試練に耐え、アメリカと台湾海峡での世紀の決戦に備えるべきだということだったという。これが報告書の主な結論だ。

袁紅冰氏は、このシンクタンクの見解に基づき、トランプ氏が政権を握った後、アメリカの戦略的重心がアジア太平洋地域、さらには中国周辺に移る可能性があると述べている。ソ連崩壊以降、国際政治の重心は、実際にアジア太平洋地域に移動したが、西側の一部の政治家や学者は、伝統的なヨーロッパ中心主義に基づいて、この事実を認めたがらない。しかし、トランプ氏と彼の政権チーム、そして彼のブレーントラスト(専門家の集団)はこの問題に非常に敏感で、現実を明確に認識している。トランプ氏が再びホワイトハウスに戻った際、彼の主な外交政策の目標の一つが、この国際政治の中心的で実質的な変化に対処することだと予想していることだ。

トランプ氏が指名した国家安全保障顧問のウォルツ氏は、アメリカの外交が主に三つの側面から成り立っていると述べている。一つ目はロシアウクライナ戦争の阻止、二つ目は中東戦争やイスラエル・ハマス戦争の阻止、三つ目は中国共産党の挑戦への対処だ。したがって、トランプ政権下での外交政策における最も重要な課題は、まずロシア・ウクライナ戦争を終わらせることだという。

中共はロシア・ウクライナ停戦を全力で阻止し、アメリカと同盟国との関係を分断

袁紅冰氏は、ウクライナが平和を実現するためには、やむを得ず土地を提供する必要があると述べ、これがトランプ氏の提案の核心であると指摘した。

トランプ氏はロシアとウクライナの停戦を促進し、二つの目的を達成しようとしている。

一つ目は、ロシア・ウクライナの戦場とヨーロッパから手を引き、アメリカの重心をアジア太平洋地域、特に台湾海峡に移すことだ。同時に、トランプ氏にはさらに深い目的がある。それは、中国共産党、ロシア、イラン、北朝鮮が形成した悪の同盟を崩壊させることだ。トランプ氏はアメリカのテレビ番組のインタビューで、この点を非常に明確に語り、これらの4か国が一緒になることは想像できないと述べた。彼はバイデン氏の外交政策を厳しく批判している。

中共はトランプ氏のこの重要な外交措置にどのように対応するのだろうか? 中共のシンクタンクは、二つの重要なポイントを挙げている。第一に、彼らはトランプ氏の外交政策、特にロシア・ウクライナ戦争を終わらせるための政策が一連の副作用を引き起こすと考えている。

アメリカの多くの同盟国、特にEU諸国、日本、韓国、オーストラリア、台湾は、バイデン政権の指導のもとで、初期の憂鬱な状態から脱却し、ロシアに対する制裁を強化し、ウクライナの勝利を全力で支持してきた。しかし、トランプ氏は、この戦争を終わらせたいと考えており、彼の主な見解と重要な前提は、ウクライナが平和を得るためには土地の奪還をあきらめる必要があるということだ。そうなると、アメリカの国家的な評判に対して、大きな負の影響を与えることは避けられないだろう。これは最も大きな副作用と言えるだろう。

したがって、中共軍のシンクタンクは、中共がこの点を切り口にして、アメリカとその同盟国との関係を分断し、アメリカの信頼をさらに損なうべきだと提案している。つまり、アメリカの意向に従ってロシア・ウクライナ戦争の停戦を全力で阻止する必要があるというのだ。

では、中共はどのようにアメリカの外交努力を妨害するのだろうか? それは、ロシアとの政治、経済、文化、軍事の交流を強化することによって実現される。また、イランや北朝鮮を通じて、 ロシアに軍需品や経済資源を供給する「隠れみの」を利用すること。さらには、北朝鮮に10万人の特殊部隊をロシア・ウクライナ戦場に派遣することを支持している思われる。中共は、この目標が達成されれば、トランプ氏にとって重大な外交的敗北をもたらすと考えているのだ。

軍事シンクタンクは、中共が台湾を侵略し、台湾問題を解決しようとする戦略において、最大の危機は、トランプ氏がロシア・ウクライナ戦争を成功裏に終結させ、ロシアと新たな同盟を築き、ロシアと中共の関係を分断することだと認識している。このような状況では、中共が台湾海峡での戦争を引き起こす場合、重要な戦略的後方や物流、エネルギー、食料の供給基地であるロシアを失うことになるだろう。したがって、このような事態が発生すれば、中共は腹背に敵を受ける状態に置かれることになる。この点について、中共の軍事シンクタンクも非常に明確に理解しているのだ。

台湾侵略の準備を早める

トランプ氏が自分の外交戦略を実現するには時間が必要であるため、軍事シンクタンクは基本的な要求を提起した。つまり、中共は、トランプ氏と時間を争う必要がある。トランプ氏が中共とロシアの外交関係を解体する前、またトランプ氏がロシアと新たな戦略的同盟を結ぶ前に、台湾問題を解決しなければならない。これは、習近平が言及した台湾問題を解決するための期限、すなわち2027年までにそれを解決する必要があることを意味する。したがって、この観点から見ると、中共は台湾侵略の準備を加速させる可能性があるということだ。

ジャーナリストの郭君氏は『菁英論壇』で指摘している。現在、習近平は非常に受動的であり、中共の第十九回党大会で党章を改正した。再任のために《憲法》も改正し、党内を説得する理由として台湾問題の解決を挙げている。台湾を取り戻すには十年が必要で、その後の十年で状況を安定させることを提案している。

第十九回党大会は2017年の年末に開催され、十年後は2027年になる。つまり、残りの約二年間で台湾問題を解決できなかったり、大きな戦略に重要な調整や変更を加えなければ、習近平は、中国共産党内部からの疑問や挑戦に、直面する可能性があるということだ。

個人独裁の専制体制において、独裁者の権力基盤がしっかりしている場合、戦略的な調整は容易に行える。しかし、権力基盤が不安定で、共通の目標に依存している場合、大きな戦略の変更は難しく、リスクも高まる。寡頭制による専制体制では、さらに戦略の変更が難しくなる。したがって、中共には一、二年の時間しか残っていない。これは非常に危険な時期だ。

今後四年間、アメリカと中共は大決戦を展開するのだろうか?

李軍氏は『菁英論壇』で、トランプ氏が当選して以来、ほとんどの内閣メンバーの任命を終えたと指摘した。これらのメンバーは基本的に中共に対して強硬な立場を持つタカ派、さらには超タカ派であり、このことが、中共にとって非常に大きな圧力となっている。

次期国務長官ルビオ氏は、中国共産党との闘争に10年以上の経験を持ち、アメリカの政治界で最も強固な反共主義者の一人だ。2013年に連邦上院議員に就任し、ウイグル人権政策法案や香港人権民主法案を力強く推進した。これらの法案は、中国共産党の弱点を突くものだった。2024年7月に彼は法輪功保護法案を提案し、法輪功学習者の臓器を生きたまま摘出する行為に対する制裁を求めた。これは中国共産党のさらなる弱点を狙ったものだ。

ルビオ氏は習近平の統治を極権主義(すべての権力を一手に集中し、個人や社会の自由を不正に制限する政治体制)、民族浄化、そしてアメリカとその同盟国に対する侵略を繰り返し批判している。

2020年、ルビオ氏は新疆での民族浄化と香港の事件を批判したことで、中国共産党から二度にわたり制裁リストに載せられ、中国への入国が制限された。しかし、彼はこの制裁を名誉と捉えている。現在、中国共産党にとっては厄介な問題となっている。彼に対する制裁を解除するのか、それとも4年間交渉を行わないのか? 制裁が続く限り、ルビオ氏は中国に入国できない。

また、ルビオ氏は米台関係を重視しており、上院議員在任中には当時の蔡英文台湾総統や頼清徳副総統と会い、台湾を支持する発言を繰り返し、「台湾関係法」の重要性を強調していた。2016年の大統領選では党内予備選でトランプ氏に敗れたが、現在トランプ氏は彼を国務長官に任命している。

李軍氏は、トランプ氏の新内閣のメンバーが、中国共産党とのデカップリングやロシア・ウクライナ戦争を早急に終わらせる方法、台湾を保護し軍備を強化する方法について、公然と議論していると述べている。中国共産党にとって、国際環境が激動の時代を迎えている。

袁紅冰氏は、トランプ氏がビジネスマンでありながら情熱的な理想主義者であると述べている。彼の理想は明確で、アメリカを再び偉大にし、黄金時代を築くことだ。一方、習近平の国家戦略は、共産主義的な権威主義の全球的な拡張を目指している。したがって、大戦略の観点から見ると、トランプ氏の理想と習近平の国家戦略は水と火のように相容れず、互いに敵対する存在だ。

トランプ氏は宥和主義の終焉をもたらした。彼は西側が中共に対して数十年にわたって行ってきた妥協的な宥和政策を終わらせた。そのため、中共がトランプ氏に対して反撃するだろうが、トランプ氏は決して妥協しない。彼は外部の影響や中共によっても変わることなく、世界を変えようとしている。

袁紅冰氏は、戦略の観点から、今後4年間に、アメリカと中共の間で激しい衝突が起こるだけでなく、その衝突が政治、経済、文化、外交の領域を超えて、台湾海峡での戦争に発展する可能性があると述べている。これはアメリカと中共が、国運を賭けた決戦となるだろう。これが今後4年間に高い確率で起こると考えている。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。