トランプ次期米大統領は25日、就任初日に合成麻薬「フェンタニル」の取引を巡る懸念を理由に中国からの輸入品に追加で10%の関税を課し、不法移民問題をめぐりメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと表明した。
トランプ氏が自身のSNS「トゥルースソーシャル」で表明した。
トランプ氏は、「皆さんもご存知の通り、何千人もの人々がメキシコとカナダから流れ込み、これまでにないレベルの犯罪と麻薬を輸入している」と投稿した。
トランプ氏は、メキシコとカナダが違法薬物、特にフェンタニルの密売と不法移民の流入を食い止める強力な措置を講じるまで、関税は有効のままであると宣言した。
米国で毎年約10万人がフェンタニルの過剰摂取により死亡している。多くは国境の南側から流入してきている。今年初め、米下院の超党派議員でつくる「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」が発表した報告書では、中国政府が米国でのフェンタニルの拡散をほう助していたことが明らかになった。
薬物過剰摂取で亡くなった人のおよそ3割が15〜34歳の若者。フェンタニルは見た目が普通の錠剤と変わらないため、強力な薬物と知らずに摂取してしまうケースが多発している。フェンタニルは、ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮痛作用があるとされ、その強力な効果が過剰摂取の原因となっている。
またトランプ氏はSNSで、国境を越えて米国に流入する麻薬、特にフェンタニルの流れを食い止めることについて、中国当局者と何度も協議してきたと述べ、北京は十分な対策を講じると約束したにもかかわらず、十分な対策を講じなかったと指弾した。
「中国の代表は、このようなことを行っている麻薬の売人が摘発された場合、最高刑である死刑を科すと私に言ったが、残念ながら、彼らはそれを実行しなかった」
「このような事態が収まるまで、我々は中国に対し、追加関税を上回る10%の追加関税を課す」
トランプ氏は以前、中国の最恵国待遇を廃止し、中国製商品に60%を超える関税を課すと宣言している。
不法移民への関心は主に南部国境に集中しているが、近年カナダからの不法越境が急増している。米国の税関・国境警備局(CBP)のデータによると、国境警備隊の捜査官が北部国境沿いで逮捕した不法移民は、2022年の10万9535人に比べ、2024年は19万9000人近くに上った。
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