11月の消費者態度指数 改善に足踏み 雇用環境と物価高が課題に

2024/11/29
更新: 2024/11/29

内閣府が発表した11月の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.2ポイント上昇して36.4となった。基調判断では「改善に足踏みがみられる」とされ、消費者心理の回復が以前として厳しい状況にあることが浮き彫りとなった。

消費者態度指数とは

消費者態度指数は、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4つの意識指標を平均して算出されるもので、国民の経済的な心理状態を測る指標だ。本調査は、消費者の暮らしや物価に対する見通し、消費意欲を把握することで景気動向の判断基礎資料として活用されている。

各意識指標の動向

11月の指標の前月比をみると、「収入の増え方」が0.8ポイント上昇して40.2となり、堅調な推移を示した。「耐久消費財の買い時判断」も0.2ポイント上昇して29.9となり、消費活動への慎重さがやや和らいだ。一方で、「雇用環境」は0.6ポイント低下して41.0となり、労働市場に対する不安感が強まっている様子が見られる。「暮らし向き」は0.1ポイントの小幅な上昇で34.3だった。

さらに、「資産価値」に関する意識指標は0.3ポイント上昇して43.2となり、前月の改善傾向が継続しているものの、依然として慎重な見方が支配的だ。

同日に総務省が発表した労働力調査では、季節調整済みの全国完全失業率が前月より0.1ポイント悪化し2.5%となった。完全失業率の悪化は7月以来となり、雇用環境の不安材料が浮上している。

物価上昇予想が高水準を維持

物価に対する見通しでは、1年後の物価が「上昇する」と答えた消費者が9割を超え、先月から横ばいを維持している。特に「5%以上上昇する」と回答した割合が47.5%と最多だった。一方、「低下する」との回答は0.1ポイント増加したが、「変わらない」は0.2ポイント減少した。

また、29日に発表された東京23区の11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比で2.2%上昇した。上昇率は10月の1.8%から0.4ポイント上昇し、8月以来3か月ぶりに拡大。これにより、物価高が依然として家計への負担となっている現状がうかがえる。

改善の兆しと課題

今回の結果では、「収入の増え方」や「耐久消費財の買い時判断」に改善の兆しが見られた一方で、「雇用環境」への不安が顕著であることが明らかになった。また、物価上昇に対する警戒感が強い状況が続いており、消費者マインド全体の回復には時間を要するとみられる。

今後は、政府や企業が進める経済対策がどの程度消費者心理に影響を与えるかが重要なポイントとなる。特に物価安定と雇用改善が、消費者心理のさらなる改善に向けた鍵となるだろう。