シリア政権崩壊のなか G7首脳共同声明

2024/12/13
更新: 2024/12/13

シリア情勢が依然不透明な中、G7首脳はシリア情勢に関する声明を発表した。

12月12日、G7(主要7か国)は、共同声明を発表し、シリアにおける「包摂的でシリア主導のシリア自身による政治移行プロセスへの全面的な支援を提供する」と表明した。声明では、「法の支配の尊重、女性の権利を含む普遍的人権、宗教的・民族的少数派を含む全てのシリア人の保護、透明性及び説明責任を確保する、信頼性が高く、包摂的 で、特定宗派に紐付かない統治につながる移行プロセスを支援する用意がある」と強調されている。

シリアでは最近、反政府勢力がアサド政権を崩壊に追い込み、北西部イドリブ県を実効支配している。ロイター通信によると、新たに任命された暫定首相は、アサド政権時代の憲法や議会を一時停止する方針を示しており、今後の統治形態については不透明な状況が続いている。

トルコのメディアなどが報じたところによると、トルコの情報機関トップがシリアの首都ダマスカスを訪問したと報じており、暫定政権との交渉が注目されている。トルコはアサド政権と対立し、反政府勢力の一部を支援してきた経緯がある。イスラエル軍は、アサド政権の兵器が反政府勢力に渡るのを防ぐため、シリア国内での空爆を実施したと主張している。国連のグテーレス国連事務総長は、イスラエル軍のシリア国内への空爆に対する懸念を表明した。ブリンケン米国務長官は12日、トルコのエルドアン大統領と会談し、シリアの政権移行プロセスについて協議した。

シリア情勢は依然として流動的であり、今後の展開が注目される。

G7首脳による共同声明は以下の通り。

シリアに関するG7首脳声明(仮訳) 全文

我々G7首脳は、シリアの人々に対するコミットメントを再確認し、国連安保理決議第 2254号の 諸原則の精神に則り、包摂的でシリア主導のシリア自身による政治移行プロセスへの全面的な支援を提供する。

我々は、全ての当事者に対し、シリアの領土的一体性と国家的統一性を維持し、シリアの独立と主権を尊重するよう求める。

我々は、イスラエルとシリアの間のゴラン高原を 監視する国連兵力引き離し監視隊への支持を改めて表明する。

我々は、この枠組みの下、法の支配の尊重、女性の権利を含む普遍的人権、宗教的・民族的少数派を含む全てのシリア人の保護、透明性及び説明責任を確保する、信頼性が高く、包摂的 で、特定宗派に紐付かない統治につながる移行プロセスを支援する用意がある。

G7は、これらの基準及びその移行プロセスの結果を遵守する将来のシリア政府と協力しこれを全面的に支持する。 

さらに、我々はアサド政権の犯罪に対する責任を追及することの重要性を強調し、シリアに残る化学兵器の備蓄を安全に確保し、申告し、廃棄するために、引き続き化学兵器禁止機関(OPCW)やその他のパートナーと協力していく。 

アサド政権による数十年にわたる残虐行為の後、我々はシリアの人々と共にある。我々はあらゆる形態のテロリズムと暴力的過激主義を非難する。我々は、シリアの統治における役割を果たそうとするあらゆる者が、全てのシリア人のためにシリアに対するコミットメントを示し、国家機関の崩壊を防ぎ、国の復興と再建に尽力し、シリア国外に避難を余儀なくされた人々が安全かつ尊厳をもって自発的にシリアに戻ることができるような状況を確保することを期待する。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。