日産とホンダの経営統合に向けた動きが急速に進展している。日本経済新聞の報道によると、両社は経営統合に向けた協議を開始し、持ち株会社の設立を視野に入れている。
この統合計画は、ホンダと日産が持ち株会社を設立し、その傘下に両社が入る形で調整中。近く覚書(MOU)を締結し、統合比率などの詳細を今後詰めていく予定だ。将来的には日産が筆頭株主である三菱自動車の合流も視野に入れている。
3社が統合した場合、年間販売台数は800万台を超え、世界有数の自動車メーカーとなる可能性がある。1位のトヨタ自動車、2位のフォルクスワーゲングループに次ぐ規模となる。
統合の背景には、米テスラや中国EVメーカーの台頭による競争激化、自動車産業におけるテクノロジーとプレーヤーの歴史的な構造転換、技術力や経営資源の結集による競争力強化の必要性があるという。
この統合計画は、日産とホンダが2024年8月に発表した協業強化の延長線上にあると考えられる。両社は既に次世代車「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」など5つの分野で協業に合意していた。
市場の反応としては、この報道を受けて日産の米国預託証券(ADR)が一時17%上昇、ホンダのADRも一時3.6%高となった。
今後、この統合計画がどのように具体化していくのか注目される。
中国市場への取り組みに注目
また、中国市場への取り組みについても気になるところだ。中国でのEV普及により日産、ホンダを含む日系自動車メーカーは苦しんでいる。
日本製鉄は7月、宝山鋼鉄との合併事業解消を発表した。同事業はもともと日系自動車メーカーをサポートするために2004年に設立されたものだ。生産能力を7割削減し、中国からの撤退を進めている。
事業解消の理由は日系自動車メーカーの不振と、さらには、米中対立による中国ビジネスの逆風も挙げられるだろう。トランプ新政権は厳しい対中政策を打ち出すことが予想される。
日産、ホンダはまだ中国市場での挽回を期するのか? それとも大局を読み切り、大きな決断をするのか? 今後の動向が注目される。
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