岩屋外相訪中へ 日中関係改善と課題解決への挑戦

2024/12/19
更新: 2024/12/19

岩屋毅外相が24~26日の日程で中国訪問を検討している。王毅外相との会談も最終調整中で、日本産水産物の輸入再開、在中日本人の安全確保、ビザ発給の緩和などについて意見交換を行う見通しだ。外相の訪中は、昨年4月の林芳正氏以来となる。

日中首脳会談での合意と今後の展望

11月15日に行われた日中首脳会談では、両国が「戦略的互恵関係」を推進し、建設的で安定的な関係を築く方針を確認。首脳級や閣僚級レベルで幅広い分野における意思疎通を強化することで一致した。政府は、今回の外相訪中を機に、王毅外相の早期訪日を実現させ、本格的な関係改善と懸案の解決に向けた具体的な対応を目指している。

対中外交の課題と現状

日本の対中外交は、「対話を重視し建設的な関係を築く」という基本方針に基づいている。「戦略的互恵関係」を維持し、経済や環境分野での協力を進める姿勢を示す一方で、東シナ海の領有権問題や軍事的緊張など、未解決の課題も多い。こうした問題について、対話を通じて衝突を防ぎ、安定を図ることが日本の意図であるが、目立った成果が得られない現実がある。

中共との課題

中共は福島第一原発の処理水放出を理由に日本産水産物の輸入を全面停止しているが、国内では同様の排水処理を行っており、「ダブルスタンダード」との批判を受けている。また、反スパイ法の施行以降、日本人がスパイ容疑で拘束される事例が相次ぎ、安全確保が重要な課題となっている。

さらに、中国共産党(中共)政府が合意を守らない例として、2020年の米中「第一段階」貿易合意が挙げられる。中共はアメリカ製品を大量に購入する約束をしたものの、履行率は約60%に留まり、米中貿易摩擦の再燃を招いた。このように中共の履行不足や一方的な行動が続く中で、日本単独ではなく、アメリカや欧州、アジア諸国との連携が重要とされている。

外交努力と国際連携の必要性

日本政府は、対中関係の改善を目指しつつも、国際社会との連携を強化し、共通の課題に取り組む姿勢が求められている。特に、中共との対話を進めながらも、周辺国や主要国と連携し、より実効性のある外交政策を展開することが重要である。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。