太陽光パネルのリサイクル義務化に向けた動きが進んでおり、政府は2025年の通常国会に関連法案を提出する方針を固めた。
背景と目的
太陽光パネルは2010年代後半から増え始めた。読売新聞によると、太陽光パネルの耐用年数は20~30年と長いため現在は大きな影響は出ていないが、2030年代後半に年17万トン以上が廃棄されるとの予測もあり、リサイクルの義務化など、制度化することで環境負荷を減らす目的がある。なお現状は太陽光パネルの大半が埋め立て処分されている。
環境省は、民間企業や地方自治体等が、屋根や駐車場に太陽光発電を設置し、その電力を建物内で消費する、自家消費型の太陽光発電の導入を推進している。脱炭素社会の実現に向け、太陽光パネルの普及・促進は一定の役割を担うことが期待される。
新制度の概要
・費用負担・管理
リサイクル費用は製造業者または輸入販売業者が負担し、解体費用は設備所有者が負担する。
費用の管理は国が指定する第三者機関が行う。設備所有者は使用開始前に、製造業者は販売時などに第三者機関に費用を支払う。使用終了時に第三者機関が設備所有者に解体やリサイクルの費用を交付する。
・放置・不法投棄対策
放置された場合は、第三者機関が確保した費用を活用し、自治体が処理を行う。一方、想定外の事態が発生することもある事から、追加的な対応の検討も視野に入れている。
今後の予定
経済産業省と環境省は今年12月、有識者会議を設置し、2024年末までに制度の大枠を示す見通しだ。政府は2025年の通常国会への関連法案の提出を目指す。この新制度により、太陽光パネルの適切な処理とリサイクルの促進が期待される。
太陽光パネルのリサイクルについて
現在の市場の大部分を占めるシリコン系太陽パネルは、フレーム、ガラス、封止材(セルを保護し接着する材料)、太陽電池セル、バックシート(太陽電池パネルの背面を保護するシート)などといった部品に大別される。リサイクル工場では、以上の部品を分離し、素材の再利用を行う。
また、リサイクルの工程で、ガラスの他、フレームからはアルミ、封止材や太陽電池セルからは銅や銀などの素材を取得することができる。
過去の事例
東京都では2022年12月15日に太陽光パネルの設置を義務づける条例が全国で初めて成立した。準備・周知期間を経て、2025年の4月から施行される予定。設置義務付けは、都内に50社程度ある大手住宅メーカーで、住宅の施主は該当しない。
一方で、義務化に懸念を示す有識者らは、電気利用者間の格差拡大や中国への依存度を高める結果になるなど、複数のリスクを提示した。
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