中国政治 習近平よ、辞めてくれ

習近平退任要求 連名書が指摘する中国の深刻な28の問題

2024/12/20
更新: 2024/12/20

12月、インターネット上で広がる連盟書が、習近平中国共産党首、政府、軍の指導職務からの退任を強く要求している。この文書は、習近平の政策が引き起こした「28の重大な問題」を列挙し、中国の経済危機、政治の混乱、そして国際的孤立を詳細に指摘しており、中国社会の現状と未来に対する深刻な懸念を表しているという。

過去5、6年間、反習近平の公開書簡や関連する記事がネット上に時折現れていた。

ネット上で配信された連名書が、習近平の在任期間中に生じた28の問題を列挙

12月17日、独立評論家蔡慎坤(さいしんこん)氏は、海外のXプラットフォームで12月16日に受け取ったメールについて言及した。このメールは体制内の高官による連名書と考えられ、様々な噂が広がっている。内容は、習近平が道理に反して強制的に行うことを具体的に指摘しており、非常に詳細で読む価値があるという。

この『習近平同志の党政軍の指導職務からの退任を要求する決議と連名書』文書では、習近平の在任期間中の28の乱政の事例が挙げられている。

第一条では、習近平が国家や経済の管理において極左的な手法を多く用いていることが指摘されている。具体的には、公有制を過度に強調し、国有企業が強化されるのに対し、民間企業が弱体化することを推進し、市場の公平な競争を破壊し、民間企業に圧力をかけたとしている。

第二条では、習近平の統治が混乱していることを批判している。具体的には、状況を十分に調査せず問題を分析し、急いで成果を求めた結果、多くの失策が生じている。地産、教育、金融、ネットプラットフォームなどの業界は、市場の規律に反する圧力や管理を受け、深刻な影響を被り、急速に衰退している。

第三条では、習近平の民を苦しめ、財を損なう無謀な政策を批判している。具体的には、民の負担を増やし、民の困難を顧みずに、大規模なプロジェクトに無限の資金を投入している。効益を考慮せず政府が重点的に開発・建設を進めている優位都市エリア「雄安新区」などの巨大プロジェクトに多額の資金を投入し、また世界各地で「一帯一路」プロジェクトに大量の資金を投入していること。

この文書では、習近平に対するいくつかの批判が述べられている。具体的には、彼が

「党と政府の分離や政府と企業の分離の原則を侵害している」

「任期制を破壊している」

「民主集中制の原則を壊している」

「個人崇拝を助長している」

「権力を独占し、人事を支配して親しい者を用い奴隷のように扱い、派閥を形成している」

といった内容である。

さらに、習近平が全ての人々に対して、全面的な支配を目指していることも批判している。具体的には、社会主義教育運動に基づく群衆運動や公有制、大食堂、公社化(集団経済)、国営・集団経営の要素をもつ協同組合的な組織の「供銷社」、企業内の戦備遷移などの異常な政策を推進し、大量の監視カメラや通信ソフトウェアを用いてビッグデータやAI技術で人々を監視している。また、国家安全法、間諜法(反スパイ法)、保密法、ネット番号法などの悪法を制定し、民衆を抑圧・打撃していることを指摘している。

さらに、当局の新型コロナ対策の無能さと失態が、民衆の死傷や経済的損失を引き起こしたと批判している。初期の隠蔽が制御を失い、過剰な収容が感染を増加させ、多くの人々が亡くなった。過度の人員隔離と全員PCR検査には巨額の費用や人力・物力がかかり、封鎖が民衆の生活を困難にした。突然の封鎖解除が全面的な感染を引き起こし、多くの人が病死したことも指摘している。

この文書では、中国共産党(中共)の外交がルールを無視し、誠実さや道徳性を欠いていること、侵略者やテロリスト、独裁的な暴虐政権を支持し、世界各地に混乱をもたらしていることを批判している。その結果、中国は国際社会から孤立し、制裁を受け、外国資本や企業が撤退している。また、「能力を隠して雌伏する」戦略に反し、他国との対立を深めていることも指摘している。

さらに、他国を喜ばせるために国家の資源を無謀に使い、香港の民主主義、自由、法治を破壊し、香港の繁栄を損なう一方で、武力による台湾統一を妄想し、台湾の人々を常に威嚇していると批判している。

文書では、当局が言論を抑圧することで、多くの問題が表面化せず、国家の管理が悪化していると指摘している。法治の精神を欠いた当局は、自らの意向で企業や異議者を処罰し、「共同富裕」の名の下に富裕層を攻撃し、資産を奪うことで多くのエリートが移民し、経済が衰退している。

また、当局が世界の民主主義の流れに逆行し、国家や人民の利益を優先せず、個人の権力の安全(政治的安全と称される)を優先していることも批判しているという。

著者は、習近平の逆行的な政策により、中国経済が大きく衰退し、停滞していること、さまざまな産業が衰退し、官民ともに困窮していることを嘆いている。また、多くの人々が自殺を選び、暴力で他人を殺害して社会への不満を表現することもあると述べている。

文書の最後では、「全国的に、官民ともに習近平の退任を望んでおり、軍や警察も彼に反旗を翻す準備ができている。我々は、彼に指導職務を辞任し、国民に謝罪し、国家が独裁的な現行体制を放棄し、民主共和制の新しい社会を樹立し、すべての人々が自由で開放的な新しい生活を送ることを要求する」と記している。

反習の動きが近年頻発し、多くが紅二代に関連している

習近平が第二任期に入った際、憲法改正によって連任制限が撤廃されると、ネット上では反習近平をテーマにした公開書簡のような記事が時折見られるようになった。これらの記事の多くは、紅二代(共産党の高官の子供たち)に関連しているという。

2018年の北戴河会議の前後、中国の官界では「大海領軍」(ここでの「大海」は汪洋(おうよう)を指す)という暗号が使われ、汪洋を習近平の後継者として推す動きが見られた。

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大後、紅二代の不動産の大物である任志強(にんしきょう)は当局の防疫の不備を批判した。彼が習近平を非難した記事は2020年3月にネット上で広まり、同年9月に任氏は汚職罪で18年の刑に処された。

2020年3月、紅二代の陳平(じんぺい)は中国共産党の高層に対し、習近平の去就について議論する政治局拡大会議の開催を求める提案書を送付した。

2020年4月、鄧小平の息子・鄧朴方(とうほくほう)が中共両会の代表に宛てた公開書簡がネット上で広まった。この公開書簡では、習近平政権が「一人リーダー」を強調し、「妄議中央罪」や「煽動罪」を創設し、防疫対策を遅らせ、パンデミックを隠蔽し、世界中に広がらせたこと、米中関係を悪化させ、香港の「一国二制度」を破壊し、台湾と大陸の距離を広げ、「一帯一路」に無理な投資を行い、雄安新区の建設に数千億を投入するなど、中共の国際的なイメージが著しく低下したことを批判している。

当時、紅二代の一人が大紀元に対し、鄧朴方名義の公開書簡を受け取ったと述べ、書簡の真実性は確認できないが、一部の人々の考えを反映していると強調した。

法律学者の許志永(きょしえい)氏は2020年2月に『勸退書』を公開し、習近平政権が米中貿易戦争や香港の民主デモ、武漢での新型コロナウイルス感染などの重大な危機に対処できていないと指摘し、習近平に自発的な退任を呼びかけた。その後、許志永氏は逮捕された。

2023年には、紅二代の馬曉力(ばぎょうりき)が習近平を批判する《十問中央決策者》という文章を発表し、これがSNSで拡散されていた。

2024年1月3日、オーストラリア在住の法学者袁紅冰(えんこうひょう)氏が、台湾の《自由時報》に記事を発表した。記事によると、中共体制内の良心的な人物からの情報によれば、かつての中共国家主席劉少奇の息子、劉源(りゅげん)を代表とする一部の紅二代が連名で習近平党首に辞任を求める計画を立てているとのことであった。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。