国税庁が発表した2023年の「民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者数は前年比1.7%増の6068万人に達し、過去最大を記録した。民間事業所が支払った給与総額も232兆9072億円と前年を上回り、所得税の総額は12兆61億円となった。一方で、所得税額は微減し、給与総額に占める税額の割合は5.15%に留まった。
日本の所得分布 年収300万~500万円が最多
給与所得者の年収分布をみると、中央値は年収300万~400万円と推定され、この層が全体の16.3%を占める。
年収300万~500万円の層が全体の31.7%を占め、最も多い層となっている。一方で、年収1千万円以上の高所得者層は全体の5.5%に過ぎず、うち、2千万円以上の所得者はわずか0.6%。所得格差が比較的小さいものの、上位層は限られている状況が示されている。これは給与所得者に関する統計結果であり、個人事業主は対象外だが、いずれにせよ、年収1千万円は依然として高い壁である。
一方で、全体の12.3%を占める年収200万円以下の低所得層には、生活費や社会保険料の負担が課題。
給与所得者の年収分布は以下のようになっている。
税制と控除の影響 扶養控除の減少
給与所得者のうち、源泉徴収で所得税を納税している者は4382万人で、全体の86.3%に相当する。所得税額は前年比1.0%増加しており、合計で11兆8907億円となる。
一方、配偶者控除または扶養控除を受けている者は1203万人で、前年比5.7%減少している。扶養控除を受ける者1人あたりの平均扶養人員は1.40人となっており、家族構成や税制の変化が家計に影響を与えている。
所得分布が示す日本の現状
低所得層の課題
年収200万円以下の12.3%の割合は、1割以上の労働者が生活費に苦労している現実を反映している。この層への政策的支援が求められる。
高所得層の限界
年収2千万円以上の高所得者層は全体の0.6%に過ぎず、経済全体への寄与における偏りが浮き彫りとなっている。
扶養控除の減少
扶養控除や配偶者控除の適用者減少は、家族構成や税制変更の影響を受けた結果であり、中間層や低所得層にさらなる負担がかかっている。
給与総額や所得税収入は増加傾向にあるが、低所得層の多さや扶養控除の減少が課題として浮上している。また、高所得層の少なさが経済成長の限界要因となる可能性も指摘される。
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