F-16戦闘機はまだ戦場で通用する

2024/12/21
更新: 2024/12/21

F-16戦闘機は、第二次世界大戦後に最も成功した戦闘機であり、F-16戦闘機が初飛行を迎えてから40年以上経った今でも、世界で最も能力の高い多用途戦闘機の1つだ。 そして、F-16はF-35よりも1日あたりの飛行回数が多く、飛行コストははるかに低く、狙撃命中率は高い。F-16がF-35よりも高い狙撃命中率を誇る話は、どの時代においても数多く存在する。

近代化による革新や改良により、F-16は米国をはじめとする24か国にとって、非常に重要な多用途戦闘機であり続けている。実際、2800機以上のF-16が現在も運用されており、毎年多くのF-16が新たに発注されている。

しかし、多用途戦闘機として成功したことで、この戦闘機が当初、銃器や赤外線誘導/熱探知ミサイルを使った空中戦においてF-15より優れた戦闘機として設計されたことを多くの人が忘れてしまっているのではないだろうか。しかし米空軍は、将来の対空戦闘は長距離レーダー誘導ミサイルを使った有視界外(BVR)交戦が主流になり、F-15の大型で強力なレーダーが決定的な威力を発揮すると強く信じていた。

それゆえに米空軍は、F-15を制空権専用戦闘機として堅持する一方、F-16を多用途戦闘機として増産した。

この決断を下した時点では、圧倒的多数の空戦が目視範囲内(WVR)で行われており、このようなWVRでの交戦では、より機敏な新型のF-16が有利であるという多くの主張があったにもかかわらず、彼らはそうした。

それでも米空軍が主力制空戦闘機としてF-15を採用することが決定して以来、F-15が敵機を圧倒し、損失ゼロに対して100以上の勝利を積み重ねている実績があることには注目しなければならない。

しかし、これらの勝利の大部分は、F-15がWVRの戦闘に従事していること、かつ米軍のAWACS(空中警戒管制システム)の支援を受けている間に獲得されたものであることも強調すべきだろう。

WVR戦闘において圧倒的であったことを考えれば、F-15パイロットのように対空戦闘の訓練だけを受けた米空軍パイロットが操縦するF-16も同様に、訓練と飛行技術で相手を大きく上回り、まったく同じ数の撃墜対被撃墜比率を成し遂げるはずだと主張することができる。さらに、飛行時間あたりのコストはF-15のおよそ半分であるため、より少ないコストで同等の戦績を達成できたはずだ。

しかし、それは当時の話だ。2025年以降の対空戦闘は、より大きく強力なレーダーを搭載した機体が有利になり、WVRではなくBVR(有視界外)戦闘が主流になると考えられている。さらに、F-16の状況をより厳しくしているのは、中国とロシアがともに第5世代のステルス戦闘機を配備していることだ。そのような相手と戦うことは、最新の第4.5世代F-16戦闘機にとっては無謀な話なのだろうか?

この質問に対する答えは、多くの要素と仮定に左右される。

ステルスの優位性をめぐる大きな前提のひとつは、ステルス戦闘機がレーダーやその他のセンサーを使って他の航空機を探知する一方で、ステルス戦闘機自身は姿を現さない能力があるというもので、もしそのようなことが出来なければ、F-16のような第4.5世代の戦闘機はレーダー信号の追尾に非常に長けているため、ステルスの利点はほとんどなくなってしまう。また、ステルス機が探知されずに他の航空機を捕捉できたとしても、標的を高い確率で仕留める必要がある。

ミサイルの有効性はステルス機にとって特に重要であり、ステルス性を維持するためにミサイルを機体内部に搭載せざるを得ないため、通常、同程度の重量の非ステルス戦闘機よりも搭載するミサイルの数は少なくなる。例えば、重量が7万ポンド近いF-35ステルス機は4発の空対空ミサイルを搭載できますが、その約半分の重さのF-16戦闘機は6発の空対空ミサイルを搭載できる。またF-15EX戦闘機は12発のミサイルを搭載できるのに対し、ほぼ同じ重量のF22ステルス機は8発しか搭載できない。

最後に、レーダー画面上のターゲットに向かってミサイルを発射する場合、戦闘機パイロットはそれが敵であり、味方でも中立でもないことを100%確信していなければならない。これは簡単なことのように思えるかもしれないが、大きな問題であり、F-15は戦闘が目視範囲内で行われるので敵・味方の識別に確信をもつことができる。

しかし、BVR(有視界外)戦闘とステルス機能が計画通り通りに進み、BVRミサイルの1発あたりの狙撃確率が高いという大前提を立てれば、F-16が単独で中国のJ-35Aのようなステルス戦闘機と戦うのは、極めて不利であることは明らかだ。

しかし、ステルス戦闘機の優位性を可能な限り弱めるような戦術を訓練されたパイロットが乗るF-16は、AWACS(早期警戒管制機)やF-15EX、F-22、さらにはF-35のような他の先進的な戦闘機と連携し、さまざまな方法で使用することができる。

例えば、F-16のはるか前方で運用されているF-22やF-35のような第5世代戦闘機は、F-16のミサイルを使って敵の戦闘機を狙い、共同交戦能力(the cooperative engagement capability)のような技術を使って攻撃することができる。

ステルス機を探知できるレーダーを搭載したAWACSは、ミサイルのレーダーが敵戦闘機を確実にロックできるよう、ミサイルを敵戦闘機に接近させることができ、ステルス機を探知できる地上レーダーや艦載レーダーは、その情報を伝えF-16がステルス機に対抗するのに役立つ。

また、現在のところ、BVR距離でステルス機を追跡できるIRST(赤外線捜索追尾システム)センサーを装備しているF-16はわずかだが、ステルス機を追跡することができる。最後に、F-16は飛行時間当たりのコストが比較的低く、狙撃命中率に優れているため、より多くの訓練を行うことができるパイロットは、BVR指向の戦闘機に乗るパイロットよりも経験値的にも有利になる。

これらのことから、F-16は今後何年にもわたって、現代の戦場において非常に重要な戦闘機であることがわかるだろう。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
国防改革を中心に軍事技術や国防に関する記事を執筆。機械工学の学士号と生産オペレーション管理の修士号を取得。