22日、雲南省大理市にある著名な観光スポット「大理古城」の楼閣上から大量のお札がばらまかれる「事件」が起きた。
ばら撒かれたのは中国の「一枚100元(約2千円)」という最高額面紙幣だ。
天から降ってきた大量の現金を袋詰めにして拾い集める通りかかりの観光客もいれば、この非常事態を不審に思って見守る人もいた。
お札ばら撒きの瞬間などを捉えた動画は、ネットにも流れているが、画面に映るばら撒き主の老人は、少し感情的になっているように見える。
現場でお金を拾う観光客のなかには、「もっと投げて」と老人に向かって催促して叫ぶ者もいた。
現場付近の店員によると、老人は少なくとも5回はお金をまいており、その行為は数分間続いたという。
事件について、現地政府職員は、「お金をまいた老人は観光客であり、その時は感情的に高まっていた。老人はその後、家族に連れられて現場を去った。いまのところ、拾ったお金を返してという要求については聞いていない」と明かしている。
(その時の様子)
このニュースは中国のネットで話題になり、「老人は何に絶望したのか」といった動機に関する議論が巻き起こった。
もし老人が認知症であるとすれば、家族はその身に大量の現金を預けなかっただろうということから推測するに、老人は自らの意志でそのようにしたと考えられる。
「家族に残すのでもなく、知らない人に拾われていくことを承知の上でばら撒いた。どれほど絶望すれば命の次に大事なお金をバラまけるのか?」とする声が広がっている。
生存環境が悪化の一途をたどる中国で近頃、ショッピングモールや河川の橋から飛び降り自殺を図る事件が絶えない。
なかには、人生に失望して究極な決断をする前に、高額面紙幣をばら撒くケースも後を絶たない。
例えば、新型コロナ(中共ウイルス)を封じ込めようとした「ゼロコロナ政策」下のロックダウン中の武漢では、同様の現金ばら撒き事件が何件も起きている。
昨年1月に広東省広州市で起きた社会報復事件の市民を、無差別に轢き殺した暴走車の運転手の男も、犯行後に紙幣をばらまいていた。
8月にも、河南省鄭州市で自殺前の女性が、マンション11階から大量の現金をばら撒いていた。
中国語には「一切向前看(何はともあれ、前へ向かって進もう」という励ましの言葉があった。しかし、それが近代になると、「前(ぜん)」と同じ発音の「銭(ぜん)」に置き換えられ、「一切向銭看(何が何でも金を稼ぐんだ!」というのが慣用句にすらなっている。
「一切向銭看」は中国共産党が中国の政権を奪取した後、中国人に対して行ってきた洗脳教育・無神論教育と同時に、植え付けてきた価値観の一つだ。
その結果、現代の中国人の多くは道徳が甚だしく低下し、神仏を敬わず、因果応報も信じなくなった。金銭ばかりを追求した結果、人が人でなくなってしまったのか。
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