社会問題 中国の監視カメラは大事な時、決まって故障する

中国でパイロットが謎の失踪 ネット上で騒がれる「臓器狩り疑惑」

2024/12/26
更新: 2024/12/26

華人圏では「謎の失踪を遂げたパイロット」のニュースが話題になっている。

監視カメラは故障中で、何の確証もないが、それでも「臓器狩り被害に遭ったのでは?」とする憶測が飛び交っている。

大量の失踪者、そして臓器を抜かれた変死体。いまでは中国国内の人も世界じゅうの華人も、「中国で失踪」と聞けばすぐに「臓器狩り」を連想してしまう、そんなイヤな世の中になってしまったのは事実だ。

 

このごろ、中国各地で「知らないうちに『ドナー登録』された」と訴える市民が続出している。画像はイメージ画像。「臓器狩り」の様子を模した寸劇で問題の周知を図る法輪功学習者。2018年10月1日、オーストリア・ウィーン市内で撮影 (Photo credit should read JOE KLAMAR/AFP via Getty Images)

 

謎の失踪

今月13日、民間航空会社に勤めるパイロットの孫さん(32歳)は、中国海南省海口市の橋で消息を絶った。

孫さんの家族と恋人は彼を懸命に探しており、失踪地付近の監視カメラ映像を調べようとしたら、「故障中」と告げられた。

SNSで猛拡散されているこの失踪ニュースは、中国メディアも取り上げ報道している。

中国メディアが、孫さんの恋人の話を引用して報じたところによると、その日の夜、孫さんは橋まで車を運転していき、車を道端に停めてハザードランプつけっぱなしで、失踪した。自殺傾向はないという。

「なぜ監視カメラは本当に必要な時には必ず故障するのか」に関する議論がネットで巻き起こり、「党性の強い監視カメラ」と皮肉が殺到している。

 

 

「監視カメラ」

中国では「社会の完全管理」を目標に、最先端技術を導入して、徹底した社会監視システムの整備が進んでいる。

中国警察は、「ターゲットを7分以内に逮捕できる!」と豪語する。それほどの「監視社会」であり、全国民の動きが「24時間見られている」状態である中国で、個人がその監視網から抜け出すのは不可能であるといってよい。

「中国は世界で最も安全だ」と誇る人たちがいる一方、中国全土で子供を含む多くの人が相次いで失踪しているのは、なぜか。

そして誠に皮肉なことに、街じゅうに設置された大量の監視カメラは、いざ当局にとって「不都合な事件」が起きるたびに、なぜか必ず「故障」するのだ。

この現象は過去に無数に起きていることから、ネット民はこれを「党性の強い監視カメラ」などと皮肉たっぷりに呼んでいる。つまり、党(中国共産党当局)にとって「不都合なものは一切映りませんよ」ということだ。

具体的には、例えば学校内で不可解な死を遂げた学生や生徒の遺族が、その監視カメラ映像の提供を求めても、学校側は「その時、カメラは故障していた。だから何も映っていない」として拒否するケースがほとんどなのだ。

 

杭州のダーファ・テクノロジーズ本社近くに備えられた監視カメラ。2019年撮影 (Photo by STR / AFP) / China OUT (Photo by STR/AFP via Getty Images)

 

真相隠蔽が当たり前の不条理

中共(中国共産党)政府は一貫してネガティブなニュースを隠蔽し、「今の中国の情勢は、すばらしい」という幻想を意図的に作り上げようとしている。そのため、どれほど国民の関心が高かろうが、「不都合なニュース」は検閲に遭い、ネット上から一掃されることが多い。

現地の警察も政府当局とグルになって証拠隠滅・真相隠蔽に躍起になるケースも多く、被害者遺族が真相を知ることは極めて困難である。

遺族だけではない、遺族のために声を上げるネット民も同様弾圧され、まるで何もなかったかのように、全てを隠滅して葬り去ろうとする。このパターン化された、恐るべき「事件処理方法」は、もはや中国の社会問題になっているといっても過言ではない。

華人であれば誰もが知る「臓器狩りを連想する」代表事件の1つに、「胡鑫宇(こきんう)事件」がある。「希少な血液型の保有者」といわれる江西省の高校1年生・胡鑫宇さんは2022年10月に理由もなく「失踪」し、翌年1月末に変死体で発見された。状況証拠に不審な点が多いにもかかわらず、警察当局によって「自殺」と断定された。

 

失踪して遺体で発見された中国江西省の高校一年生・胡鑫宇(15歳)さん。背景(左)の女性は彼の母親、背景(右)は彼が生きた姿で映った最後の監視カメラ映像。(大紀元合成)

 

胡鑫宇さんの家族は遺体発見後から、どこかへ隔離されて、その安否もふくめて行方不明になっている。警察の管理下に置かれ、一切声を上げられないでいるという。

当初から、胡鑫宇さんは「狙いをつけられて、臓器狩り(臓器収奪)に遭ったのではないか」と疑われてきた。

この事件を早期に報じた動画配信者・李前偉(りぜんい)氏(浙江省、33歳)も2022年11月19日に車で帰宅途中に、原因も理由も分からない「謎の失踪」を遂げていた。

李氏の車はエンジンやハザードランプがついたまま、監視カメラの死角となる橋の下に停車されており、車内には彼のパソコンやリュックサック、身分証明証、銀行カードなどが残されていたが、彼が日常的に使う携帯電話はなかった。また、李氏の車のドライブレコーダーのデータは、人為的に破壊されていた。

 

「胡鑫宇事件」をいち早く報じて謎の失踪を遂げた動画配信者の李前偉氏の写真。胡鑫宇さんの遺体が見つかったという学校の裏山で見つかったとされる李前偉氏のボロボロな写真。(ネット投稿画像)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!