公正取引委員会(公取委)は、自社の検索サービスを不当に優遇し競争を制限したとして、米グーグル社が独占禁止法に違反していると判断し、初の排除措置命令を出す方針を固めた。これは、日本国内での競争環境を守るため、グーグルに対し再発防止を求める重要な措置となる。
ブルームバーグによると、グーグル側は23日、「十分な協議を行わずに判断が下されたことに失望している」とコメントを発表。さらに、「今後の意見聴取において主張を展開していく」と述べた。ただし、具体的な対応策や詳細には触れていない。
スマートフォン市場での競争制限
公取委の指摘によれば、グーグルはスマートフォンメーカーに対し、「グーグルプレイ」の使用許諾を条件に、自社の検索アプリ「グーグル」やブラウザ「グーグルクローム」を搭載させるなどの要求を行い、少なくとも2020年以降、競合他社を排除する一方、自社サービスを優遇する形で取引先の事業を不当に制限していたとされる。
公取委は2023年10月に審査を開始し、すでに処分案をグーグルに文書で通知済みである。
グーグルの声明と国際的な背景
グーグルは公取委の処分案について、「日本政府と緊密に連携し、Androidエコシステムを支援し、日本国内でユーザーの選択肢を広げる努力を続けてきた」と主張。さらに、「意見聴取の過程で私たちの主張を述べていく」とコメントし、公取委の対応には失望感を示した。なお、解決案の詳細については説明を避けている。
過去の行政処分と競争促進法の成立
2024年4月には、公取委がヤフーとの検索連動型広告に関する技術提供を制限した疑いでグーグルに行政処分を科している。この際、グーグルは自主的に改善計画を提出し、是正の意志を示していた。
また、2024年6月には「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」が成立。同法は、一定規模以上の指定事業者に対し、アプリストア間の競争制限や提供妨害を禁止しており、競争環境の健全化を目指している。
国際的な競争法違反の状況
グーグルをはじめとする大手テクノロジー企業は、データと市場シェアを掌握することで競争を阻害しているとして、各国の規制当局から批判を受け続けている。
アメリカでは、2020年10月に提起された反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟で、連邦判事がグーグルが検索サービスと広告市場で独占的地位を維持しているとの判決を下した。この訴訟では、グーグルがブラウザ開発者やモバイルデバイス製造業者、無線通信事業者と独占的契約を結び、競争を妨げたと指摘されている。
グーグルはこの判決に対し、「グーグルが最高の検索エンジンを提供していることは認めつつ、それを容易に利用できるようにするべきではないと結論づけられた」と反論している。
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