日本政府は、来年度予算案で政府安全保障能力強化支援(OSA: Official Security Assistance)に80億円を計上する方針を固めた。これは今年度の予算額50億円から30億円増加しており、同志国の安全保障能力強化に向けた取り組みを拡大する意図が見られる。
OSAは、同志国の軍隊に防衛装備品などを供与する枠組みで、2023年4月に新設された。この制度は、開発途上国の経済社会開発を目的とする政府開発援助(ODA)とは別に、同志国の安全保障上のニーズに応えるために導入された。
現在の対象国はフィリピンやインドネシアなど4か国で、今年度予算で沿岸監視レーダーなどを供与する方針。また、新たに太平洋の島嶼国、パプアニューギニアを加える方向で調整中であり、同国は日本のシーレーンの要衝に位置する。
中国の海洋進出に対処
OSA(政府安全保障能力強化支援)の予算増額は、中国の海洋進出に対処するための取り組みの一環と考えられる。中国の海洋進出は、アジア太平洋地域の戦略環境に不安定をもたらす可能性があると認識されている。
特に、中国は太平洋島嶼国への関与を拡大しており、これは「一帯一路」構想の影響を受けている。
「一帯一路」構想は、中国の習近平が2013年に提唱した。広域経済圏構想だとされているが、この構想は、国際社会における中国共産党の影響力を拡大し、既存の国際秩序に挑戦しようとする特徴を持っている。これは中国共産党による権威主義的統治モデルの輸出につながる可能性があるため、警戒されている。
今回の日本政府による取り組みは、同志国の安全保障能力と抑止力を向上させ、特にインド太平洋地域における平和と安定の確保を目的としており、特に、中国の海洋進出に対する具体的な対応策として、OSAの予算増額と機能強化が進められていると言える。
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