18日、税関は成田空港貿易概況(令和6年11月分)を発表した。発表によると輸出額は1兆6109億5千万円で、輸出額は対前年同月比で11月として最も高い値を記録した。また中国からの輸出額(香港含む)が5797億6500万円と最も多く、全体の36.0%を占めている。
また輸出の主要品目は半導体等製造装置が1431億円(対前年伸び率62.1%)、科学光学機器860億円(対前年伸び率24.2%)、IC589億円(対前年伸び率12.0%)となった。
一方で11月の輸入額は1兆7759億9500万円で、2か月ぶりに増加した。11月の輸出額から輸入額を差し引いた貿易赤字額は1650億9千万円となった。
2024年の成田空港の輸出額が過去最大を記録したことは、半導体関連製品の増加と強い相関関係があると言える。また日本の半導体関連製品の輸出増加から、日本の半導体産業の成長と半導体関連製品の世界的な需要の増加がうかがえる。
日本の半導体分野の強み
日本は特に半導体製造装置や材料の分野で世界をリードしている。半導体の製造工程はシリコンウエハ(半導体製造において基盤として使用される)に回路を形成する「前工程」と、シリコンウエハを半導体チップに切り分け、製品に仕上げる「後工程」に分けられる。特に、後工程と呼ばれる分野において強みを発揮しており、この技術が近年注目を集めている。
またチップレット技術(半導体チップの新しい作り方で、大きな1つのチップの代わりに、小さなチップをいくつか組み合わせて使う技術)など、次世代の半導体技術開発において日本の役割が重要視されている。チップレット技術は、半導体産業に新たな可能性をもたらし、製品の性能向上とコスト削減を同時に実現する革新的なアプローチとして、今後さらなる発展が期待されている。
日本政府の今後の方針
石破茂首相は11月11日の記者会見で、2030年度までの7年間で、半導体やAI分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を表明した。政府は補助金や財政支援などを通じ、国内半導体の基盤強化に取り組んでいく狙いがある。
また政府は今後10年間で半導体分野に対し、官民合わせて50兆円の投資を促す方針を示しており、160兆円規模の波及効果を見込んでいる。
この支援策は、日本の半導体産業を強化し、国際競争力を高める狙いがあるとみられる。政府は、公的資金を活用するほか、民間からの大規模な投資を促すことで、半導体とAI分野での日本の地位向上を目指していく。
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