中国が日本のEEZ(排他的経済水域)内に設置したブイをめぐり、両国の主張が対立し緊張が高まっている。
沖縄県与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国が新たにブイを設置したことが確認された。このブイには「中国気象局」と書かれており、海上保安庁が発見し、付近を航行する船舶に注意を促すため24日に航行警報を発出した。具体的な発見日は明確に示されていない。去年7月にも沖縄県の尖閣諸島周辺の日本のEEZ内に中国のブイが確認されるなど、同様の事態が繰り返されている。
岩屋毅外務大臣は25日に北京で王毅外相と会談し、このブイの即時撤去を求めた。林芳正官房長官も26日の記者会見で、「極めて遺憾だ」と非難し、「国連海洋法条約との関係で問題になる」と述べ、中国側に対して即時撤去を求めていく方針を示した。
これに対し、中国外務省の毛寧報道官は27日の記者会見で、設置場所は「中国の管轄する海域」で、ブイの目的は気象観測であり、「合理的で合法的だ」と主張し、日本側の即時撤去要求には応じない姿勢を示した。
フィリピンは中国の浮遊障壁を撤去
2023年9月25日、フィリピン沿岸警備隊は、南シナ海のスカボロー礁で中国海警局が設置した浮遊障壁を撤去したと発表した。
フィリピン政府は、この撤去作業をマルコス大統領と南シナ海に関する特別対策本部の指示に基づいて実施した。実施理由は、浮遊障壁が航行に危険をもたらしていたこと、国際法に対する明確な違反であったこと、フィリピン漁民の漁業活動と生計を阻害していたことであった。
EEZ(排他的経済水域)とは
EEZは、国連海洋法条約に基づいて設定される水域で、領海の基線から200海里(約370km)までの海域(領海を除く)で海底とその下も含む。
沿岸国が有する権利は、天然資源の探査、開発、保存、管理のための主権的権利、人工島、施設、構築物の設置と利用に関する管轄権、海洋の科学的調査に関する管轄権、海洋環境の保護と保全に関する管轄権がある。
日本のEEZは国土面積の約12倍、世界第6位の広さで、海洋資源の開発や水産資源の利用に関する重要な海域。国家の経済的利益と環境保護に大きく関わる。
今後の外交交渉に注目
岩屋外相と中国の王毅外相は、12月25日に中国を訪問し、王毅外相と会談を行い、来年の早い時期に王外相が訪日し、閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」を開催することで一致している。
中国は経済協力を進めつつ、領土や安全保障に関わる問題では譲歩しない「選択的協力」の姿勢を取っている。
日本の対話外交が、こうした領域問題では譲歩しない姿勢を示す中国に通用するのか? 日本政府、および外務省、海上保安庁など関係省庁の今後の外交交渉が注目される。
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