社会問題 新入社員に「忠誠」と「服従」を求める企業

「自信増強につながるから」? 新入社員に「火の飲込み」を強要する中国企業

2024/12/31
更新: 2024/12/31

 

「本当は参加したくなんか、なかった。人を尊重することを知らないこんな会社なんか…就職難のご時世でなかったら、すぐに辞めてるのに!」

 

中国・遼寧省大連市の会社に就職した新入社員の女性は、SNSにこのように書き込んだ。

女性が就職した会社は、新入社員に「火の飲込み(吞火)」を強要していたという。

この女性に取材をした中国メディアによると、「火の飲込み」は心理的な恐怖の克服、自信増強につながるといった効果から、一部のチームビルディングを専門とする会社の新入社員に対する定番的な「試練」となっていた。

新入社員総勢60人が参加した2日にわたる研修で、1日目は、新入社員らは会社の上層部に対して「うちのチームは勝ちたい! 金を稼ぎたい!」とする決意を示すよう求められ、それが2日目になると、「火のついた綿棒を口のなかに入れる」よう求められたという。

「職を失うことのが怖いから、みんな怖いが言う通りにするしかなかった。ほとんどの新入社員は火の飲込みをし終えたが、なかにはできなかった人も何人かいる」と女性は語る。

研修中は携帯を没収されていたため、関連動画は撮れなかったという。

 

従業員を人として扱わない「調教」

「火の飲込み」もそうだが、近年、中国の一部企業は、「チームビルディングの研修(ゲームやスポーツなどを通じ、チームメンバーが目標に向かって協力し合いチーム一丸となる体験をすることで、チームワーク向上を目指す研修)」の際、「非常に変わった」ことを従業員にさせているとして、時々ニュースにもなっている。

なかには従業員を地べたに這わせたり、従業員にひざまずかせて互いの顔にビンタし合うようさせたり、従業員にゴミ箱にキスまでさせている企業もあるという。

 

地べたに這いつくばって、歓迎スローガンを合唱しながら、お偉いさんを出迎える中国広東省広州市の企業(中国のネットより)

 

この現象について、中国メディア「南方都市報」は29日付の記事で、次のように指摘し、批判をしている。

「火の飲込みのパフォーマンスは通常、サーカスなどを専門とするプロが行うものだ。それがいまでは企業の一般従業員がこのようなことを求められるなど、危険すぎる。企業は従業員の命と健康を顧みず危ない『火遊び』をしている、普通じゃない!」

「この種の自虐的、虐待的なチームビルディング活動はもはや一部の企業の上層が自身の権力を誇示するための手段にすらなっている。企業は従業員に忠誠と服従を求めることに熱心すぎるあまり、従業員をモノとして扱い、繰り返し調教する。これは従業員が持っている人間としての尊厳を無視しているだけではなく、法律的にも問題がある。従業員は法廷に立ち、自身の権利擁護を訴えることができる」

イメージ画像。「火の飲込み」をする女性(中国のネットより)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!