アメリカ経済 マクドナルドは、多様性チームの名前を「グローバル・インクルージョン・チーム」に変更すると発表した。

米マクドナルド DEI の取り組み一部終了 「法環境の変化」を受け

2025/01/08
更新: 2025/01/08

マクドナルドは6日、「法的環境の変化」として、多様性に関する施策の一部を見直すと発表した。2023年6月に米最高裁判所が大学入学選考時のアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を違憲と判断した判例の影響が広がったとされている。

同社は、店舗運営者や従業員、取引先に向けた通知で、これまで掲げていた「代表制目標の設定」を廃止し、今後は業務全般に包括性を取り入れることに重点を置く方針を示した。

具体的には、取引先企業に対するDEI(多様性、公平性、包括性)への誓約義務を廃止し、外部調査への参加を停止するほか、社内の「多様性チーム」の名称を「グローバル・インクルージョンチーム」に改称するとした。ただし、外部調査の詳細については明らかにしていない。

同社は「この名称変更は、当社の価値観であるインクルージョン(包括性)に適合し、このチームの取り組みにふさわしいものだ」と述べている。

通知によれば、マクドナルドのアメリカ国内のリーダー層の30%以上は少数派グループ出身者で構成されている。また、2025年末までに達成を目指していた「アメリカ国内全システムでの多様な経営を行うサプライヤーへの支出を全体の25%とする」という目標を、予定より3年早く達成した。

こうした成果を挙げつつも、マクドナルドは今後もインクルージョンに重点的に取り組む姿勢を示している。

「これらの成果を誇りに思う一方で、これに満足することなくさらなる努力が必要だ」と述べ、包括性の促進には継続的な注力が求められるとしている。

同社は、会社全体の包括性を評価する「公民権監査」を実施した結果、この決定に至ったと説明した。「株主と対話して期待を理解し、株主提案の全体的な状況を評価した」ともしている。

同社は、ハーバード大学の入学手続きがアメリカ合衆国憲法の平等保護条項に違反しているとして、公正な入学を求める学生団体が同大学を相手取って起こした訴訟で、アファーマティブ・アクションを違憲とした最高裁判決に言及した。

同社は、この判決が企業に与える影響を評価し、他社が多様性プログラムをどのように見直しているかを参考にしたとされる。

アメリカで企業の「DEI(多様性、公平性、包括性)」推進の活動方針を取り下げる動きが相次いでいる。ウォルマート、トラクター・サプライ、ハーレーダビッドソン、ジョン・ディア、ローズなど複数の企業が、保守派や議員からの批判を受けてDEI施策を廃止または縮小する方針を表明している。

トヨタは10月、LGBTQ+に関するイベントのスポンサーを終了し、代わりに 「STEM教育と労働力の準備 」に注力することを発表した。

一方、コストコは、保守系シンクタンク「国家公共政策センター」からDEI施策の廃止を求められたものの、株主に対しDEI施策の支持を呼びかけている。

コストコの取締役会は声明の中で、「多様な従業員グループは、商品の独創性や創造性を高める助けとなり、お客様が重視する“宝探し”のようなショッピング体験を促進する」と述べ、DEI施策が従業員の採用や店舗サービスの向上に寄与していると説明している。
 

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。
ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。