急増する脱毛サロン倒産 2年間で被害者27万人超え

2025/01/11
更新: 2025/01/11

脱毛サロン業界において、倒産件数が急増し、被害者数が膨大な規模に達している。

東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、2024年の倒産件数は16件を記録し、前年の12件を上回り2年連続で年間最多を更新した。この背景には、有名人を起用した積極的な広告宣伝や前受金を活用した急速な事業拡大という従来の手法が行き詰まりを見せていることがある。また、安価な医療脱毛の台頭により、競争が一層激化していることも要因の一つである。

倒産した脱毛サロンの顧客は、前払いした施術代の返金が困難なケースが多く、被害は深刻化している。2年超の期間で、被害者数は少なくとも約27万人に上り、多くの利用者が信販会社やクレジットカード会社との対応に追われている。

特に注目すべきは、業界大手の相次ぐ倒産である。2024年12月に破産した「アリシアクリニック」運営会社2社では約10万人が被害を受け、「全身脱毛サロンC3」「脱毛ラボ」「銀座カラー」などの大型倒産でも、それぞれ数万人規模の被害者が出ている。これらの事例では、有名タレントを起用した広告により信頼を得た脱毛サロンと契約し、多額の前払金を支払ったにもかかわらず、未施術分が残ったまま倒産するというトラブルが発生している。

この状況を受け、今後、脱毛サロン業界には経営の透明性確保が強く求められる可能性がある。具体的には、業績数値や前受金残高の公表、「前受金保全措置」のルール整備などが必要とされる。また、広告や安価なサービスを謳って利用者を集め、事業を拡大するという従来の手法の見直しが急務となるだろう。業界全体として、健全な経営体制の構築と消費者保護の強化が不可欠となっている。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。